日本のサッカー界では、外国人選手がチームの要として活躍する場面が数多く見られます。
では、Jリーグのクラブは彼ら“助っ人外国人選手”をどのように探し、獲得しているのでしょうか?
この記事では、Jクラブが外国籍選手をどのように発掘・契約しているかを、4つの方法に分けて解説します。
Jリーグの助っ人外国人選手とは?
「助っ人外国人選手」とは、クラブの戦力強化を目的に国外から獲得される選手のことです。
Jリーグでは、特にFW・MFポジションに多く、攻撃をけん引する存在として期待されるケースが一般的です。
かつてのジーコ選手、ドゥンガ選手、レオナルド選手などが代表例で、現在でも多くのクラブで外国籍選手が主力を務めています。
助っ人外国人選手の成功事例:マイケル・オルンガ選手
Jリーグにおける助っ人外国人選手の中でも、圧倒的な存在感を示したストライカーがマイケル・オルンガ選手です。
1994年3月26日生まれ、ケニア・ナイロビ出身のフォワードで、日本では柏レイソルでプレー。
驚異的な得点力と規格外のフィジカルで、Jリーグ史に残る活躍を見せました。
日本での実績と記録
2018年夏に柏レイソルへ加入。2019年のJ2リーグでは、京都サンガF.C.戦で1試合8得点という前代未聞の記録を樹立し、シーズン通算27得点でJ1昇格の立役者となりました。
さらに、2020年のJ1リーグでは32試合28得点を記録し、得点王とJリーグMVPを同時受賞。
JリーグMVPを獲得した初のアフリカ人選手として、その名を刻みました。
圧倒的な評価と人間性
オルンガ選手は、そのパワー・スピード・シュート精度のすべてが高水準で、「反則級のストライカー」として各クラブの脅威に。
加えて、工学の学位を持つ知性派であり、日本での生活や文化にも謙虚に順応しようとする姿勢も称賛されています。
マイケル・オルンガ選手の現在
柏レイソルでの活躍後、2021年にカタールのアル・ドゥハイルへ移籍。
移籍金は約600万ユーロ(約8.4億円)で、Jリーグからの海外移籍としてはトップクラス。
カタールリーグでは2年連続で得点王に輝き、公式戦通算130ゴール以上を記録しました。
また、スペインのジローナではケニア人選手初のラ・リーガでのハットトリックも達成するなど、世界の舞台でも実績を残しています。
Jリーグクラブが外国人選手を探す方法
(1) エージェント(代理人)経由の紹介
もっとも一般的な手段が、エージェント(代理人)からの売り込みです。
クラブの強化部やスカウト担当者に対して、世界中の代理人から定期的に選手の紹介が届きます。
選手のプレー映像や過去の実績、希望年俸などの情報をもとに、スカウトチームが分析を行い、獲得候補に挙げていきます。
例:元鹿島アントラーズのファン・アラーノ選手なども、エージェント経由で加入した一人です。
(2)現地スカウトや海外ネットワークを活用
一部のクラブでは、海外に専属スカウトを配置し、現地での視察やネットワークを活かしたスカウティングを行っています。
特にブラジル、韓国、オーストラリアといった国々では、日本向けにルートを築いているクラブも存在します。
例:川崎フロンターレのマルシーニョ選手は、ブラジルからスカウトが視察し、活躍を確信して獲得された選手です。
(3)データベースとAI分析を活用したスカウティング
近年では、Wyscout(ワイスカウト)やInStatといった分析ツールを使って選手を発掘する手法も浸透しています。
プレーデータ、走行距離、成功パス率などの数値を元に、理想のポジション・特徴を持つ選手を検索・分析することが可能です。
例:サガン鳥栖のユースフ出身・オランダリーグ経験を持つクリスティアーノ選手などは、データ活用のスカウティング例に近い事例です。
(4) 日本国内でプレーしている外国籍選手を発掘
JFLや地域リーグ、大学サッカーなど、日本国内で既にプレーしている外国籍選手をJクラブが引き上げるケースもあります。
日本語にある程度慣れている選手も多く、即戦力として期待される傾向にあります。
例:ヴィッセル神戸のリンコン選手は、J3での活躍を経てステップアップした好例です。
助っ人外国人選手の評価ポイントとは?
Jクラブが助っ人外国人選手を評価する際、特に重視するのが以下の3点です
- 即戦力性:短期間で結果を出せる選手か
- 戦術理解力:日本独自の戦術や連携に対応できるか
- フィット感:文化やチーム内の人間関係に順応できるか
「技術が高い=成功する」とは限らず、日本の気候・食事・距離感に馴染めるかも重要な指標です。アフリカの暑い地域でオウレーしていた選手が、日本のシーズン開幕直後の気温の低い試合で思うように結果が出ないケースも度々起こります。
Jリーグの外国人枠の仕組み(2025年現在)
- 登録数:外国籍選手の登録人数に制限はなし
- 出場枠:試合には5人まで同時出場が可能
- 提携国枠:タイ、ベトナム、ミャンマー、マレーシアなどの選手は特別枠で扱われる
提携国出身の選手は、クラブによっては優先してスカウトされる傾向にあります。
助っ人外国人選手は“戦術・文化・信頼”で選ばれる
Jリーグの助っ人外国人選手は、ただ能力が高いだけでは成功しません。
「この選手がいれば勝てる」と確信を持てるほど、チームに“フィット”するかが最重要です。
クラブのスカウト力、監督の戦術理解、そして選手自身の適応力。
この3つがうまくかみ合ったとき、真の“助っ人”が誕生します。
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