ジョージアの1部リーグ「エロヴヌリ・リガ(Erovnuli Liga)」は、2026シーズンは10クラブで行われています。同じ相手と4回ずつ対戦する全36節で、2月28日に開幕し、最終節は12月5日の予定です。その下には2部、3部、4部、5部の地域リーグがあり、すべてジョージアサッカー連盟(GFF)が1冊の規程で定めています。
この国のリーグ表を見ると、アブハジアの街「ガグラ」の名を持つクラブが1部にいます。ただし、ホームの試合は首都トビリシで行われています。紛争で故郷を離れた人たちが、街の名前をクラブに残してきたからです。
この記事では、次のことがわかります。
- ジョージアのリーグは何部まであり、どうつながっているか
- 外国人枠と2軍(ファームチーム)の参加ルール
- 旧ソ連時代からの歴史と、故郷の名を背負うクラブ
- 日本のリーグと何が違うか、公式の日程・結果はどこで見られるか
※リーグ制度は「GFF 2026年競技規程」にもとづきます。対象は男子のシニアのリーグで、女子のリーグは後半で概要だけ紹介します(2026年10月5日確認)。
ジョージアという国と、日本との関係
ジョージアは、西を黒海に面した国です。北はロシア、南はアルメニアとトルコ、東と南東はアゼルバイジャンと陸で接しています(ジョージア政府観光局「Geography」)。首都はトビリシで、公用語はジョージア語です(ジョージア憲法 第2条)。
人口は約394万人です(2026年1月1日時点、ジョージア国家統計局)。3人に1人以上がトビリシに住んでいます。この統計は、アブハジアと南オセチアを「占領地域」として数に含めていません(同上の注記)。憲法第1条は、1991年の独立を確かめた国民投票が、アブハジアと旧南オセチア自治州を含む国土全体で行われたと定めています。この2つの地域は、あとで紹介するクラブの話につながります。
文化では、ジョージア語で歌われる多声合唱が2008年に、壺の形をした土器「クヴェヴリ」でワインを造る方法が2013年に、ユネスコの無形文化遺産に登録されています(UNESCO「Georgian polyphonic singing」、UNESCO「Qvevri wine-making method」)。
日本とジョージアの外交関係は、1992年8月3日に始まりました(駐日ジョージア大使館)。日本ではかつて「グルジア」と呼ばれていましたが、在外公館の名称を定める法律が改正され、2015年4月22日の公布とともに「ジョージア」に変わりました(参議院「議案情報」第189回国会 閣法第11号)。
なお、サッカーの国際団体での単位は、主権国家のジョージアとそのまま一致しています。GFFは1992年からFIFAとUEFAの正式加盟協会です(UEFA「Georgian Football Federation」)。
ジョージアのサッカーは、どう歩んできたか
旧ソ連の名門ディナモ・トビリシ
UEFAがまとめた年表によると、ジョージアで最初のサッカークラブが正式にできたのは1907年です。1925年には、ソ連のスポーツ団体「ディナモ」がトビリシにチームをつくりました。これが、のちにジョージアで最も多くの成功を収めるディナモ・トビリシです(UEFA「Georgian Football Federation」)。
ディナモ・トビリシは、ソ連1部リーグで1964年と1978年に優勝しました。1981年にはUEFAカップウィナーズカップ決勝で東ドイツのカール・ツァイス・イェーナに2対1で勝ち、ヨーロッパのタイトルを手にしています(同上)。
ソ連代表としても、ジョージアの選手は活躍しました。1960年にヨーロッパ選手権で優勝したソ連代表には、スラヴァ・メトレヴェリ、ミヘイル・メスヒ、ギヴィ・チョヘリ、ザウル・カロエヴィの4人のジョージア人がいました(同上)。2026シーズンも、トビリシには「ミヘイル・メスヒ」の名がついたスタジアムがあり、イベリア1999やスパエリがホームの試合をしています(エロヴヌリ・リガ公式 日程)。
1990年、独立したリーグへ
1990年2月15日、独立したジョージアサッカー連盟がトビリシで発足しました。代表チームは同じ年の5月27日、リトアニアとの親善試合(2対2)で最初の試合をしています。1992年にFIFAとUEFAに加盟し、1993年にはディナモ・トビリシが独立後のジョージアのクラブとして初めてUEFAのクラブ大会に出場しました(UEFA)。
EURO 2024で初めての大舞台
ジョージア代表にとって、EURO 2024は初めての主要大会でした。予選のプレーオフ決勝でギリシャにPK戦で勝って出場を決め、本大会ではトルコに1対3で敗れ、チェコと1対1で引き分けたあと、ポルトガルに2対0で勝ちました。グループFの3位でベスト16に進んでいます(UEFA 2024年6月27日)。
ポルトガル戦で先制点を決めたのが、トビリシ生まれのクヴィチャ・クヴァラツヘリアです。ジョージアで育ち、ロシアのルビン・カザン(2019〜2022年)、イタリアのナポリ(2022年夏〜2025年1月)を経て、2025年1月からパリ・サンジェルマンでプレーしています。同クラブで初めてのジョージア人選手です(パリ・サンジェルマン公式 選手紹介)。
2026年のW杯には、ジョージアは出場していません(FIFAが発表した出場48チームの一覧に含まれていません。FIFA「Qualified teams for the FIFA World Cup 2026」2026年3月31日)。
故郷の名を背負うクラブ:ガグラ
2026シーズンの1部には「ガグラ(Gagra)」というクラブがいます。ガグラは、アブハジアの黒海沿岸にある街の名前です。しかし、このクラブのホームはトビリシのダヴィト・ペトリアシュヴィリ・スタジアムです(エロヴヌリ・リガ公式「Gagra」)。
中央アジア・コーカサスの報道サイト Eurasianet の2018年の記事によると、ガグラは2004年、紛争がすぐには解決しないとわかった時期に、トビリシでつくられました。創設者は「いつかクラブをガグラに移すつもりだったが、それはかなわなかった」と話しています。クラブは3年後に1部に上がり、アブハジアの街の名前がソ連時代以来はじめてジョージアのリーグ表に載りました。2011年には国内カップ(ダヴィト・キピアニ杯)で優勝し、初めてヨーロッパの大会(UEFAヨーロッパリーグ)に出場しました(Eurasianet 2018年12月13日)。
同じ記事は、アブハジアや南オセチアを離れた人たちが、ほかにも街の名前のついたチームをつくってきたことを伝えています。2026シーズンの5部(地域リーグ)にも、「ディナモ・スフミ」「ディナモ・ガグラ」「ツフミ・スフミ」が参加しています(GFF 2026年競技規程 地域リーグ 3.5)。
リーグの仕組み(男子・2026シーズン)
ジョージアのリーグは暦年で行う「春秋制」です。2026シーズンの1部は2月28日に開幕し、最終節(第36節)は12月5日の予定です(エロヴヌリ・リガ公式 結果、日程)。
| 階層 | 名称 | チーム数 | 方式 | 昇格 | 降格 | 運営 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1部 | エロヴヌリ・リガ(Erovnuli Liga) | 10 | 4回戦総当たり(全36節) | (最上位) | 10位は自動降格。8位・9位は2部の3位・2位と入れ替え戦 | GFF |
| 2部 | エロヴヌリ・リガ2(Erovnuli Liga 2) | 10 | 4回戦総当たり | 1位は自動昇格。2位・3位は1部の9位・8位と入れ替え戦 | 9位・10位は自動降格。7位・8位は3部の4位・3位と入れ替え戦 | GFF |
| 3部 | リガ3(Liga 3) | 16 | 2回戦総当たり | 1位・2位は自動昇格。3位・4位は2部の8位・7位と入れ替え戦 | 14〜16位 | GFF |
| 4部 | リガ4(Liga 4) | 16 | 2回戦総当たり | 1〜3位 | 13〜16位 | GFF |
| 5部 | 地域リーグ(Regionuli Liga) | 43(東部Aグループ15・東部Bグループ16・西部Gグループ12) | 各グループで2回戦総当たり | 各グループ1位。各グループ2位による1試合制のプレーオフの勝者 | (最下層。降格の定めは確認できず) | GFFと地域のサッカー連盟 |
出典:GFF 2026年競技規程(エロヴヌリ・リガ〜リガ4:3.2〜3.12、地域リーグ:2.1、3.3〜3.6)
※入れ替え戦はホーム&アウェーの2試合です。クラブがライセンスを得られない、参加を辞退するなどの場合は、規程にある順番で別のクラブが繰り上がります(同 3.13〜3.16)。
1部と2部の入れ替え:自動で入れ替わるのは1チームずつ
1部の10位と2部の1位は、自動で入れ替わります。1部の8位と9位は、2部の3位・2位と2試合の入れ替え戦をします(9位対2位、8位対3位)。勝てば翌シーズンも1部、負ければ2部です(GFF 2026年競技規程 3.4、3.7)。
1部と2部はどちらも10チームなので、1部の下位3チーム(全体の3割)が、降格か入れ替え戦の対象になります。
4部までは全国で1つのリーグ、5部は東西のグループ
4部(リガ4)までは、全国で1つのグループです。5部の地域リーグは、東部の2グループ(A・B)と西部の1グループ(G)に分かれます。グループ分けは、地理的な条件と抽選の両方で決めます(GFF 2026年競技規程 地域リーグ 3.4)。
4部に上がれるのは4チームです。3つのグループの1位と、プレーオフの勝者1チームです。プレーオフは、まず東部AとBの2位どうしが1試合で戦い、その勝者が西部Gの2位と1試合で戦います(同 3.6)。
2026年の規程が定めているのは、この5部までです。その下の地区レベルの大会があるかどうかは、今回の調査では確認できていません。
プロとアマチュアの区分
規程は、選手権に参加するのは「プロとアマチュアのサッカークラブ」だとしています(GFF 2026年競技規程 2.2、地域リーグ 3.2)。何部からがプロ、という階層ごとの区分は、規程の中に見つかりませんでした。
外国人枠は階層ごとに違う
外国籍の選手を登録できる人数は、階層ごとに決まっています(GFF 2026年競技規程 6.9)。
| 階層 | 外国籍選手の上限(2026シーズン) |
|---|---|
| 1部 | 同時に15人まで登録できる。5人目までは登録料なし、6〜10人目は1人1万ラリ、11人目からは1人1万5千ラリ |
| 2部 | 同時に12人まで。うち2026年の移籍期間に新しく登録できるのは7人まで |
| 3部 | 3人まで(登録・試合エントリーとも) |
| 4部 | 外国籍選手は登録できない(上位クラブのファームチームは、試合エントリーに2人まで入れられる) |
2軍(ファームチーム)のルール
1部から4部のクラブは、自分より下のリーグに「ファームチーム」を持つことができます。ファームチームは2003年以降に生まれた選手で編成します。トップチームと同じリーグや、それより上のリーグには参加できません(GFF 2026年競技規程 3.17〜3.19)。
2026シーズンは、3部にディナモ・トビリシの2軍(ディナモ2)とイベリア1999の2軍が、4部や5部にも各クラブの「2」がついたチームが参加しています(同 3.8、3.11、地域リーグ 3.5)。
国内カップ(ダヴィト・キピアニ杯)
国内カップの正式名は「ダヴィト・キピアニ杯」です。2026年大会には80チームが参加します。決勝は、GFFが選ぶ中立のスタジアムで行います(GFF 2026年競技規程 カップ戦 4)。
欧州の大会への出場
1部の優勝クラブはUEFAチャンピオンズリーグ、2位はUEFAカンファレンスリーグの出場権を得ます。3位は、カップ戦の優勝クラブが1部で1位か2位だった場合にカンファレンスリーグに出られます(GFF 2026年競技規程 3.4)。
女子のリーグ(概要)
ジョージアの女子リーグは2016年に始まりました(UEFA)。2026シーズンは、女子1部(10チーム)と女子2部(14チーム)があります。女子1部は2回戦総当たりの後、上位4チームと下位6チームに分かれて順位を決め、優勝クラブはUEFA女子チャンピオンズリーグに出ます。2027シーズンの女子1部は8チームになります(GFF 2026年競技規程 女子リーグ 3.2〜3.4)。
見始めるならこのクラブ
2026シーズンの1部10クラブは、ガグラ、ディラ・ゴリ、ディナモ・バトゥミ、ディナモ・トビリシ、イベリア1999、メシャフテ・トキブリ、ルスタヴィ、サムグラリ・ツカルトゥボ、スパエリ、トルペド・クタイシです(GFF 2026年競技規程 3.2)。
ディナモ・トビリシ(Dinamo Tbilisi)
1925年にできた、旧ソ連時代からの名門です。1981年のカップウィナーズカップ優勝は、UEFAの年表で、このクラブの「最初のヨーロッパのタイトル」と記されています。2026シーズンのホームは「ディナモ・アレナ」です(UEFA、エロヴヌリ・リガ公式 日程)。
ディナモ・バトゥミ(Dinamo Batumi)
バトゥミのクラブです。2026シーズンは「バトゥミ・アレナ」でホームの試合をしています(エロヴヌリ・リガ公式 日程)。
イベリア1999(Iberia 1999)
トビリシのクラブで、元の名前は「サブルタロ」です。2024年シーズンから「イベリア1999」に名前を変えました。会長は、クラブの発展のためには「地区のチームのプロジェクトから、全国規模の方向へ育てるほうがよい」と説明しています(イベリア1999公式 2024年2月25日)。
トルペド・クタイシ(Torpedo Kutaisi)
クタイシのクラブで、2026シーズンは「ラマズ・シェンゲリア・スタジアム」がホームです(エロヴヌリ・リガ公式 日程)。
ガグラ(Gagra)
上で紹介した、アブハジアの街の名を持つクラブです。ホームはトビリシです。
日本との比較
| 項目 | ジョージア(2026シーズン) | 日本(2026-27シーズン) |
|---|---|---|
| 開催時期 | 2月下旬開幕・12月上旬最終節(暦年) | 8月開幕・12月中旬〜2月中旬は中断・5月末閉幕 ※1 |
| 1部の規模 | 10クラブ・4回戦総当たりの全36節 | J1は20クラブ・2回戦総当たりの全38節 ※2 |
| 1部から2部へ | 自動降格1。8位・9位は入れ替え戦 | 下位3が降格 ※2 |
| 外国籍選手 | 1部は同時に15人まで登録できる(6人目から登録料) | 試合エントリーは5人まで(Jリーグ提携国の選手は外国籍扱いしない)※2 |
| 全国リーグと地域リーグ | 4部まで全国1グループ。5部が東西3グループの地域リーグ。すべてGFFの1つの規程で定める | J1・J2・J3・JFLの下に、地域リーグ(9地域)と都道府県リーグ(47)※3 |
※1 Jリーグ「シーズン移行」
※2 Jリーグ「大会概要 J1」
※3 JFA「国内の競技会」
外国籍選手のルールは、ジョージアは「登録できる人数」、日本は「1試合に出られる人数」で決めているので、数字をそのまま比べることはできません。
いちばん大きな違いは規模です。ジョージアの1部と2部は10クラブずつで、同じ相手と1シーズンに4回戦います。日本のJ1は20クラブで、同じ相手とは2回です。リーグの数も、ジョージアは5部までを1つの規程で定めているのに対し、日本は地域と都道府県のリーグまで広がっています。人口や国の広さ、クラブの数が大きく違うので、どちらが良いかを比べることはできません。
日本人選手がジョージアのリーグでプレーした例は、今回の調査では公式資料で確認できませんでした。
試合の日程・結果を見るには
- 日程:エロヴヌリ・リガ公式「Fixtures」
- 結果:エロヴヌリ・リガ公式「Results」
- 順位表:エロヴヌリ・リガ公式「Tables」(2部の順位表も同じページで見られます)
- クラブ一覧:エロヴヌリ・リガ公式「Clubs」
- 3部・4部・地域リーグ:GFF「Liga 3」
- 公式YouTube:Erovnuli Liga(エロヴヌリ・リガ公式サイトからリンクされているチャンネル)、GFF(GFF公式サイトからリンクされているチャンネル)
日本から試合を生中継で見る方法は、2026年10月5日時点で確認できていません。
よくある質問
Q. ジョージアのサッカーリーグは何部まで?
A. 2026シーズンのGFFの規程では、5部の地域リーグまでです。1部から4部は全国で1つのグループ、5部は東部2グループと西部1グループに分かれています。
Q. ジョージアの1部リーグは何チーム?
A. 2026シーズンは10チームです。同じ相手と4回ずつ対戦する全36節で行います。
Q. ジョージアのリーグはいつ行われている?
A. 暦年の春秋制です。2026シーズンの1部は2月28日に開幕し、最終節は12月5日の予定です。
Q. 1部から何チーム降格する?
A. 自動で降格するのは10位の1チームです。8位と9位は、2部の3位・2位と2試合の入れ替え戦をします。
Q. 外国人選手は何人まで登録できる?
A. 2026シーズンは、1部は同時に15人まで(6人目から登録料が必要)、2部は12人まで、3部は3人までです。4部では外国籍の選手を登録できません。
Q. ジョージアは2026年W杯に出場した?
A. 出場していません。FIFAが発表した出場48チームの一覧に、ジョージアは入っていません。
調査基準日:2026年10月5日(リーグ制度・日程は2026シーズン)

