ソロモン諸島の1部リーグ「S-League」は、2026シーズンは10クラブで行われています。前の年は12クラブでしたが、登録料を払わなかった2クラブが外されました(SIFF 2026年4月25日)。
2026年には、国内リーグとは別の舞台も生まれました。オセアニアサッカー連盟(OFC)が始めたプロリーグに、この国で初めてのプロクラブ「Solomon Kings FC」が参加しています。チームの中心でプレーしたのは、ガイナーレ鳥取から加わった日本人MFの東出壮太選手です。
この記事では、次のことがわかります。
- ソロモン諸島の国内リーグと、州ごとの大会がどうつながっているか
- 国内リーグの外にある、プロクラブSolomon Kingsと日本人選手
- フットサルと女子代表が残してきた実績
- 日本のリーグと何が違うか、公式の情報はどこで見られるか
※リーグ制度は2026シーズン(暦年制)の協会の発表にもとづきます。対象は主に男子のシニアの大会で、女子は2026年のトップリーグの概要に触れます(2026年10月6日確認)。
ソロモン諸島と日本
ソロモン諸島は、南太平洋に約900マイル(約1,450km)にわたって島が連なる国です。チョイスル、ガダルカナル、マライタ、マキラ、ニュージョージア、サンタイサベルの6つの大きな島と、約992の小さな島や環礁からなり、国は9つの州に分かれています。公用語は英語ですが、ふだんの共通語は「ソロモン諸島ピジン」で、80を超える地域の言葉があります(ソロモン諸島国連代表部「Country Facts」)。
首都ホニアラはガダルカナル島にあります。同じ資料は、ホニアラが第二次世界大戦後、アメリカ軍の飛行場のまわりにつくられた街だと説明しています(同上)。2019年の国勢調査の速報では、人口は約72万1千人でした(ソロモン諸島統計局 2020年11月16日)。
1978年7月7日にイギリスから独立し、英連邦の37番目の加盟国になりました(ソロモン諸島国連代表部)。憲法の前文は、祖先の知恵と慣習を誇りとし、国の中の異なる文化の伝統を大切にすると述べています(ソロモン諸島憲法)。
日本とのつながりは、独立の日から始まっています。JICA(国際協力機構)は、1978年7月7日の「ソロモン独立の日」に海外協力隊の派遣取極を結び、翌1979年から派遣を始めました。職種には医療や教育のほか、体育・スポーツも含まれます(JICAソロモン事務所「JICA海外協力隊」)。ホニアラ港やホニアラ国際空港、上水道の整備にも日本の協力が入っています(JICAソロモン事務所)。
ソロモン諸島のサッカーは、どう広がってきたか
首都の協会が一番古い
ソロモン諸島サッカー連盟(SIFF)は、1989年にFIFAに加盟しました。SIFFの下には10の州協会(Provincial Football Association)があります。その中で最も古く、SIFF自身が「最も強い州協会」と書くのが、1956年にできたホニアラ協会(HFA)です(SIFF「About SIFF」)。
協会の沿革では、フットサルを1998年、女子サッカーを1999年、ビーチサッカーを2006年に始めています。2005年には、ホニアラのアラン・ボソ・コンプレックスに協会のアカデミーができました(同上)。
フットサルで世界の舞台へ
11人制より先に世界大会に名前を残したのが、フットサルです。OFCプロリーグの公式サイトは、ソロモン諸島がOFCのフットサル男子カップで7回優勝し、FIFAフットサルワールドカップに4回出場したと紹介しています(OFCプロリーグ公式 2026年3月10日)。
同じ記事は、サッカーを「国のスポーツ」、サポーターを「太平洋で最も熱心な人たちの一つ」と書いています。11人制の男子代表は、2004年にオーストラリアと2対2で引き分け、初めてOFCネーションズカップの決勝に進みました(同上)。
リーグの仕組み(男子・2026シーズン)
| 階層・種類 | 名称 | チーム数 | 方式 | 昇格・降格 | 運営 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1部(全国のクラブリーグ) | S-League | 10 | ホーム&アウェー | 規程は確認できず。2026年は登録料未払いの2クラブを除外して12→10に | SIFF(S-League board) |
| 州の大会 | 各州協会のキャピタルリーグ(Capital League) | 州ごとに異なる | 州ごとに異なる(2025年は3月1日〜6月7日の予定) | 1部とのつながりは確認できず | 州協会(10)。SIFFが助成 |
| 州代表の大会 | ソロモン・カップ(Solomon Cup) | 州代表チーム | 短期の大会(2025年は7月7日〜26日の予定) | (リーグではない) | SIFF |
| (国外のリーグ) | OFCプロリーグ(Solomon Kings FCが参加) | 8 | 各地を回るサーキット方式 | 国内リーグとの昇降格はない | OFC |
出典:1部 SIFF 2026年4月25日、大会の時期 SIFF「2025年競技カレンダー」2025年1月29日、州のキャピタルリーグとソロモン・カップ SIFF 2024年7月2日(ガダルカナル州協会)・SIFF 2024年7月6日(ラウル州協会)、OFCプロリーグ OFC「OFC Pro League 2026」
※S-Leagueの大会規程(文書)は2026年10月6日時点で見つけられていません。上の表は、協会の発表で確認できた範囲です。S-Leagueと州の大会の間に、昇格・降格のつながりがあるかは確認できていません。
1部S-League:参加の条件は「登録」
2026シーズンのS-Leagueは、6月に開幕する予定で発表されました。参加は次の10クラブです(SIFF 2026年4月25日)。
Central Coast、Malaita Kingz、Green Shield、Honiara City、KOSSA、Marist、SOSA、Southern United、Ghupo、Laugu United
SIFFの発表によると、2025シーズンをふり返ったうえで、S-Leagueの理事会(board)が参加チームを12から10に減らしました。FC Juniper TreeとWaneagu Unitedの2クラブは、2025シーズンの登録料を払っていなかったため、リーグの規則にもとづいて2026シーズンには参加しません。理事会は、この判断は参加クラブ全体が財政と事務の義務を果たすためだと説明しています(同上)。
つまり2026シーズンは、順位による降格ではなく、クラブが義務を果たしたかどうかで顔ぶれが変わりました。この発表には、昇格・降格や2部についての説明はありません。
州のキャピタルリーグと、州代表の「ソロモン・カップ」
S-Leagueのクラブとは別に、州ごとの大会があります。SIFFは州協会と「競技助成の協定」を結び、各州の中心の町で行う「キャピタルリーグ」などにお金を出しています。
たとえばガダルカナル州協会は、2024年にSIFFから65,000ソロモンドルの助成を受けました。その年のキャピタルリーグのチームが、州代表としてソロモン・カップ2024に出ると説明しています(SIFF 2024年7月2日)。北西部チョイスル州のラウル協会は、3つの選挙区を4つの会場に分けてキャピタルリーグを行い、そこからソロモン・カップの選手を選ぶ計画でした(SIFF 2024年7月6日)。
州のリーグで選手を見つけ、州の代表チームを組み、全国の大会で戦う流れです。2025年のソロモン・カップ決勝は7月25日にホニアラのナショナル・スタジアムで行われ、マキラ・ウラワ州のチームがマライタ州のチームに3対0で勝ちました。報道によると、1991年に始まったこの大会で、マキラ・ウラワ州の初めての優勝でした(In-depth Solomons 2025年7月)。
1年を通した競技カレンダー
SIFFは毎年、全国の大会の日程を発表しています。2025年の予定では、S-League(男子)が4月16日から10月11日まで、女子のSolrais Women’s Premier Leagueが3月22日から10月11日まででした。同じ年に、S-LeagueのU-18の大会、全国のU-15・U-16・U-18女子のリーグ、フットサルの「Super Futsal League」も組まれていました。SIFFの競技部長は「1年の最初から最後の四半期まで忙しい年になる」と話しています(SIFF 2025年1月29日)。
この国初のプロクラブ「Solomon Kings FC」
国の代表選手が中心のクラブ
Solomon Kings FCは、SIFFとオーストラリア・ブリスベンのクラブWynnum Wolves FCが組んで生まれました。SIFFのテクニカルディレクターは、選手の多くが代表選手になると話し、「プロの環境を、自分たちの国の中につくれる」と述べています(SIBC 2025年11月3日)。
参加したOFCプロリーグは、2026年にOFCが始めた、オセアニアで初めてのプロのクラブの大会です。8クラブが各地を順に回って試合をし、5月24日にオークランドのイーデン・パークで行われた決勝では、オークランドFCがサウス・メルボルンに2対1で勝ちました(OFC「OFC Pro League 2026」)。
ホニアラでの初めてのホームゲーム
2026年3月、リーグの第4ラウンドがホニアラのナショナル・スタジアムで行われました。2023年のパシフィックゲームズのために建てられた、1万人収容のスタジアムです(OFCプロリーグ公式 2026年3月10日)。OFCは、Solomon Kingsが「ソロモン諸島初のプロクラブ」として、初めて地元のファンの前で試合をすると紹介しました。この時点の順位は3位でした(OFC 2026年3月13日)。
ホームゲームの前には、サポーターの集まり「Kings Army」が発表されました。マネレ首相は夕食会で「私もKings Armyの一員になりたい」と話しています(SIBC 2026年3月13日)。
シーズンの後半、リーグは上位と下位の2つのグループに分かれました。Solomon Kingsは下位のグループでバヌアツ・ユナイテッドに2対3で敗れ、準決勝には進めませんでした(OFC「OFC Pro League 2026」)。
日本人MF 東出壮太選手
Solomon Kingsでプレーしているのが、日本人MFの東出壮太選手です。ガイナーレ鳥取の移籍記録をまとめたFootball LABによると、2025年6月にFCティアモ枚方へ期限付きで移り、2026年1月にSolomon Kings FCへ移っています(Football LAB「ガイナーレ鳥取 移籍情報」)。
OFCプロリーグの公式記事によると、東出選手は2026年1月16日にオークランドに着き、2日後の1月18日にデビューしました。ゲームをつくる役割のMFで、監督は「1つのことだけではない、完成された選手」と評価しています。ホニアラでのホームゲームでは、東出選手がボールを持つたびに、満員の観客が名前を呼んだと伝えています(OFCプロリーグ公式 2026年4月23日)。
ホニアラでのオークランドFC戦では、試合の最後に東出選手のPKが相手GKに止められ、勝ち点を逃しました(OFC「OFC Pro League 2026」)。
女子のリーグと女子代表
女子のトップリーグ「Solrais Women’s Premier League」は、2026シーズンは10チームで行われています。新しく加わったGhupo Wantokのほか、Koloale、Marist、Henderson Eels、RSIPF Royalsなどが参加し、全試合をホニアラのイーストエンド・スタジアムで行います。入場は無料です(SIFF 2026年4月28日)。
女子代表は2025年7月19日、フィジーのスバで行われたOFC女子ネーションズカップの決勝で、パプアニューギニアに延長の末3対2で勝ち、初めてオセアニアの頂点に立ちました。OFCは、女子サッカーでこの国の最大の成果と伝えています(OFC 2025年7月19日)。
代表:2026年W杯
ソロモン諸島の男子代表は、2026年W杯に出場していません。オセアニアから出場したのはニュージーランドだけです(FIFA「Qualified teams for the FIFA World Cup 2026」)。
オセアニア予選では、フィジー、ニューカレドニア、パプアニューギニアと同じグループAに入り、2024年10月10日の初戦でフィジーに0対1で敗れました。前回の予選では、決勝でニュージーランドに敗れています(OFC 2024年11月12日)。
日本との比較
| 項目 | ソロモン諸島(2026シーズン) | 日本(2026-27シーズン) |
|---|---|---|
| 開催時期 | 暦年制。2026年は6月開幕の予定(2025年の予定は4月16日〜10月11日) | J1は2026年8月7日〜2027年6月6日 ※1 |
| 1部の規模 | S-League 10クラブ・ホーム&アウェー | J1は20クラブ・全38節 ※1 |
| 1部の顔ぶれの決まり方 | 昇降格の規程は確認できず。2026年は登録料未払いの2クラブを除外 | 下位3クラブがJ2へ降格。J2から自動昇格2、プレーオフ勝者1。ライセンス判定で数が変わることがある ※1 |
| 下の大会 | 州協会のキャピタルリーグ。そこから州代表を組み、ソロモン・カップで戦う | J1・J2・J3・JFLの下に、地域リーグ(9地域)と都道府県リーグ(47)※2 |
| プロの位置づけ | 初のプロクラブSolomon Kingsは国内リーグではなく、国外のクラブと戦うOFCプロリーグに参加 | J1・J2・J3のクラブが国内のリーグの中で昇格・降格する ※2 |
※1 Jリーグ「大会概要 J1」
※2 JFA「国内の競技会」
日本では、都道府県リーグから地域リーグ、JFL、Jリーグへと、クラブが成績で上の階層に進む道がつながっています。ソロモン諸島で確認できたのは、全国のクラブが戦うS-Leagueと、州ごとの大会という2つの流れです。州の大会は、クラブが上に進む道というより、州の代表チームを組むための大会として説明されています。
もう一つの違いは、プロのクラブの置き場所です。日本ではプロのクラブが国内リーグの中で戦います。ソロモン諸島では2026年、初めてのプロクラブが国外のクラブとのリーグに出て、国内のS-Leagueはそれとは別に続いています。人口や国土、島どうしの移動の条件が大きく違うので、どちらが良いかを単純に比べることはできません。
試合の日程・結果を見るには
- 国内の大会の発表・ニュース:ソロモン諸島サッカー連盟(SIFF)公式サイト
- Solomon Kingsが出るOFCプロリーグ:OFCプロリーグ公式サイト
- 代表戦・OFCの大会:OFC公式サイト
2026シーズンのS-Leagueの日程表と順位表は、2026年10月6日時点でSIFFの公式サイトでは見つけられませんでした。公式の試合映像と、日本から生中継で見る方法も確認できていません。
よくある質問
Q. ソロモン諸島のサッカーリーグは何部まで?
A. 全国のクラブリーグとして確認できたのは、1部のS-League(2026シーズンは10クラブ)です。そのほかに州協会のキャピタルリーグがありますが、S-Leagueとの昇格・降格のつながりは確認できていません。
Q. S-Leagueに昇格・降格はある?
A. 協会の大会規程が見つからず、確認できていません。2026シーズンは、2025シーズンの登録料を払わなかった2クラブが外され、12クラブから10クラブになりました。
Q. ソロモン・カップとはどんな大会?
A. 州の代表チームが戦う全国大会です。各州のキャピタルリーグなどから選手を選んで代表チームを組みます。2025年はマキラ・ウラワ州のチームが初めて優勝しました。
Q. ソロモン諸島にプロのクラブはある?
A. 2026年、初めてのプロクラブSolomon Kings FCが生まれ、OFCプロリーグに参加しました。国内のS-Leagueのクラブとは別のチームです。
Q. ソロモン諸島でプレーする日本人選手はいる?
A. Solomon Kings FCに、ガイナーレ鳥取から加わったMFの東出壮太選手がいます(2026年4月のOFCプロリーグ公式記事で確認)。
Q. ソロモン諸島は2026年W杯に出場した?
A. 出場していません。オセアニアからの出場はニュージーランドだけでした。
調査基準日:2026年10月6日(リーグ制度は2026シーズン)
