パラグアイの1部リーグは、12クラブが1年に2回、優勝を争います。1月から5月の「アペルトゥーラ(Apertura)」と、7月から11月の「クラウスーラ(Clausura)」です。一方で、1部から落ちるクラブは、その年だけでなく過去2年分を合わせた「平均勝ち点」で決まります。
もう一つの特徴は、首都アスンシオン周辺のリーグと、地方(インテリオール)のリーグが別々に組み立てられていることです。地方の町のリーグが送り出す「選抜チーム」どうしの全国大会で優勝すると、そのチームが2部に加わります。
代表チームは2026年のW杯に、2010年以来16年ぶりに出場しました。決勝トーナメント1回戦(ラウンド32)でドイツをPK戦で破り、ラウンド16まで進んでいます。
この記事では、次のことがわかります。
- パラグアイのリーグは何部まであり、どうつながっているか
- アスンシオンのクラブと地方のクラブが、どこで同じリーグに合流するか
- W杯2026で何があったか、日本とどんな縁があるか
- どのクラブから見始めればいいか、公式の日程・結果はどこで見られるか
※対象は男子のトップチームのリーグで、女子のリーグは扱いません。リーグ制度と日程は2026シーズンの発表と、パラグアイサッカー協会(APF)の競技規則にもとづきます(2026年10月6日確認)。
パラグアイという国と、日本との関係
パラグアイは南米の中央にある、海に面していない国です。首都はアスンシオンです。
この国の大きな特徴は言葉です。憲法は、パラグアイを「多文化で二言語の国」とし、スペイン語とグアラニー語の両方を公用語と定めています(パラグアイ共和国憲法 第140条(英訳))。サッカーの代表チームも「ロス・グアラニエス(Los Guaraníes)」という愛称で呼ばれています(FIFA 2025年9月4日)。FIFAの記事では、「アルビロハ(La Albirroja)」という呼び名も使われています(FIFA 2026年6月26日)。
日本との関係は、1919年に両国の間で最初の条約が結ばれたことから始まりました。在パラグアイ日本国大使館の担当者は、これを外交関係の始まりと説明しています(InfoNegocios 2018年10月15日)。
日本からの移住は、1936年にアスンシオンの南東約130kmにあるラ・コルメナ移住地への入植から始まりました。戦後はイタプア県などに移住地がつくられ、現在は約1万人の日系人(日本国籍の人と2世〜4世を含む)が暮らしています(JICAパラグアイ事務所「パラグアイにおける日系社会について」)。
パラグアイのサッカーは、どう根づいてきたか
1902年のオリンピアと、1906年の協会
パラグアイで最初のスポーツクラブとされるのは、1902年7月25日に生まれたオリンピア(Club Olimpia)です。つくったのはオランダ人のウィリアム・パーツ(William Paats)でした(APF「Olimpia」)。
協会は、1906年6月18日に新聞社「エル・ディアリオ」の事務所で生まれました。オリンピア、グアラニー、リベルタ、ヘネラル・ディアス、ナシオナルの代表が集まり、「パラグアイ・フットボール・リーグ」として出発しています(La Nación 2016年6月18日)。今のAPF(Asociación Paraguaya de Fútbol)という名前は、その後の改称によるものです。
街ごとのクラブと、そのサポーター
オリンピア(アスンシオン)
APFの紹介では、国内で最も多くのタイトルを取ったクラブで、南米クラブ王者を決めるコパ・リベルタドーレスで3回優勝しています(APF「Olimpia」)。2026シーズンも、前半のアペルトゥーラで優勝しました(パラグアイ政府通信 IP 2026年5月25日)。
セロ・ポルテーニョ(アスンシオン・バリオ・オブレロ)
1912年10月1日創立です。クラブ名は、パラグアイの独立につながった「セロ・ポルテーニョの戦い」から取りました。青と赤のクラブカラーは、当時対立していた2つの政党の色を合わせたもので、国民の団結を願って選ばれたと説明されています。1936年に労働者の街「バリオ・オブレロ」に移り、APFは今のクラブを「国内で最も多くの人を集める社会現象の一つ」と紹介しています(APF「Cerro Porteño」)。
リベルタ(アスンシオン・ラス・メルセデス)
サポーターは「グマレロ(Gumarelo)」と呼ばれます。創立のころ、クラブを応援していたイタリア系の2人、アンジェロ・グマレッシとルイジ・ヌッツァレッロの名字を合わせた呼び名です。本拠地のラス・メルセデス地区は、イタリア系の家族が野菜畑(huerta)を営んでいた場所で、スタジアムは今も「ラ・ウエルタ」の名を持っています。2002年以降に15回のリーグ優勝を重ねました(APF「Libertad」)。
グアラニー(アスンシオン)
1903年10月12日創立で、協会をつくったクラブの一つです。「エル・レヘンダリオ(伝説の)」とも呼ばれます(APF「Guaraní」)。
リーグの仕組み(男子・2026シーズン)
| 階層 | 名称 | チーム数 | 方式・時期 | 上への昇格 | 下への降格 | 運営 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1部 | División de Honor(大会名:コパ・デ・プリメーラ Copa de Primera) | 12 | アペルトゥーラ(1月23日〜5月24日)とクラウスーラ(7月24日〜11月29日)。それぞれ2回戦総当たりの全22節で、別々に優勝を決める | (最上位) | 3年分の平均勝ち点の下位。2025シーズンは2クラブが降格 | APF |
| 2部 | División Intermedia(インテルメディア) | 16 | 2回戦総当たりの全30節(4月4日〜10月26日) | 上位2クラブ | 2025シーズンは3クラブが降格(地方のクラブは元の地方リーグへ戻る) | APF |
| 3部 | Primera División B(アスンシオン周辺) | 17 | 1年を通したリーグ戦 | 1位は昇格。2位は地方の「ナシオナルB」優勝クラブとの入れ替え戦 | 2025シーズンは2クラブが降格 | APF |
| 3部に並ぶ地方の大会 | 全国インテルリーガス選手権(Campeonato Nacional de Interligas)/ナシオナルB(Nacional B) | 地方リーグの選抜チーム/地方のクラブ | 地方のリーグ(UFI=内陸サッカー連合の加盟リーグ)から勝ち上がる | インテルリーガスの優勝チームは2部へ。ナシオナルBの優勝クラブは3部2位との入れ替え戦へ | 地方のリーグに属する | UFI(APFの地方組織) |
| 4部 | Primera División C | 12 | リーグ戦(2026年の日程の詳細は未確認) | 2025シーズンは優勝・準優勝の2クラブが昇格 | 4部が最下層 | APF |
出典:APF 競技規則(Reglamento General de Competiciones)第2・16・17・18条、APF 2026年クラウスーラ順位表、InfoNegocios 2025年12月9日(APFの2026年日程発表)、ABC Color 2026年3月13日(2部)、ABC Color 2026年3月13日(3部)、ABC Color 2026年3月13日(4部)、ABC Color 2024年11月25日(インテルリーガス)
※昇格・降格の数は、APFの理事会(Consejo Ejecutivo)が各ディビジョンの意見を聞いて決めます(競技規則 第17条)。2026シーズンの1部からの降格数は、APFの規程本文では確認できていません。表の「2025シーズンは」は、2026年の顔ぶれから確認できた実績です。
1部:年2回の優勝と、3年分の「平均勝ち点」
1部は、前半のアペルトゥーラと後半のクラウスーラがそれぞれ独立した大会です。どちらも12クラブが2回ずつ対戦する全22節で、22節を終えて勝ち点が最も多いクラブが優勝します(InfoNegocios 2025年12月9日)。2026年は、6月のW杯の前にアペルトゥーラを終える日程が組まれました(同上)。
降格は、順位ではなく「平均勝ち点(promedio)」で決まります。その年と、直前の2年間の勝ち点を合計し、試合数で割った数字です。昇格・降格したクラブは、次の年を平均ゼロから始めます(競技規則 第16条)。1年だけ成績が悪くても、それまでの2年が良ければ残れる一方、昇格したばかりのクラブは1年分の成績で比べられます。
2025シーズンが終わったあと、ヘネラル・カバジェロ(フアン・レオン・マジョルキン)とアトレティコ・テンベタリーが1部から2部に降格し、2部の優勝クラブのルビオ・ニュと2位のサン・ロレンソが1部に上がりました(ABC Color 2026年3月13日)。
国内カップの優勝クラブは、下の階層でも南米の大会へ
APFの競技規則は、南米の大会(コパ・リベルタドーレス、コパ・スダメリカーナ)に出るクラブは原則として1部に属することとしています。ただし、国内カップ「コパ・パラグアイ(Copa Paraguay)」の優勝クラブは例外で、1部以外のクラブでも出場できます(競技規則 第16条)。
2部と3部:アスンシオンの道と、地方の道
2部のインテルメディアは16クラブで、2026年は4月4日から10月26日まで全30節を戦い、上位2クラブが1部に上がります(ABC Color 2026年3月13日)。若手の出場ルールもあり、2026年はその対象がU23からU24に変わりました(La Nación 2026年3月14日)。
2部に上がる道は2つあります。
1つ目は、アスンシオン周辺のクラブが戦う3部「プリメーラB」です。優勝クラブがそのまま2部に上がり、2位は地方の大会「ナシオナルB」の優勝クラブと入れ替え戦をします(ABC Color 2025年4月18日)。2025シーズンは、ビジャ・アジェスのベンハミン・アセバルが優勝し、2位の3デ・ノビエンブレ(アスンシオン)が入れ替え戦でイタペの15デ・マヨに勝って、2クラブが2部に上がりました(ABC Color 2026年3月13日)。
2つ目は、地方の「全国インテルリーガス選手権」です。地方の町や地域のリーグ(liga)が、それぞれの選抜チームを送り出して争う大会で、運営するのはUFI(Unión del Fútbol del Interior、内陸サッカー連合)です。2024-25年の第44回大会は、優勝チームに2026年の2部への出場権を与えると発表されていました(ABC Color 2024年11月25日)。この大会で優勝したパラグアリの選抜チームが、「パラグアリFC」として2026年の2部に加わっています(ABC Color 2026年3月13日)。
逆に、2部から降格した地方のクラブは、3部のプリメーラBには入りません。2025シーズンに2部から降格したパストレオFCとグアラニー・デ・フラムは、もともとUFIに属していたため、元の地方リーグに戻りました。アスンシオンのリバー・プレートだけが3部に移っています(ABC Color 2026年3月13日)。
3部・4部:首都圏のピラミッド
3部のプリメーラBは2026年に17クラブです。4部のプリメーラCから、優勝した1デ・マルソ(フェルナンド・デ・ラ・モラ)と準優勝の12デ・オクトゥブレが上がってきました(ABC Color 2026年3月13日)。
4部のプリメーラCは、APFのピラミッドの「4番目で最後の段」で、2026年は12クラブです。かつて1部にいたヘネラル・ディアス(ルケ)も、2026年はこの階層で戦っています(ABC Color 2026年3月13日)。
※プロとアマチュアの区分を定めた規定は、今回確認した競技規則には見当たりませんでした。地方の各リーグの数と階層は確認できていません。
W杯2026:16年ぶりの本大会で、ドイツを破った
パラグアイは南米予選で、2025年9月4日にホームでエクアドルと0対0で引き分け、出場を決めました。2010年以来、16年ぶりの本大会です(FIFA「Qualified teams for the FIFA World Cup 2026」2026年3月31日、FIFA 2025年9月4日)。監督はグスタボ・アルファロです。
本大会ではグループDに入りました。初戦でアメリカに1対4で敗れたあと、トルコに1対0で勝ちました。マティアス・ガラルサの開始64秒のゴールは、その時点で大会最速でした。最終戦はオーストラリアと0対0で、グループ3位から成績上位の3位として決勝トーナメントに進みました(FIFA 2026年6月20日、FIFA 2026年6月26日、FIFA「Qualified and eliminated teams」2026年6月27日、Concacaf 2026年6月13日)。
ラウンド32では、6月29日(現地時間)にボストンでドイツと対戦しました。フリオ・エンシソのゴールで先制し、カイ・ハフェルツに追いつかれて延長でも1対1。PK戦を4対3で制しました(ドイツサッカー連盟 DFB 2026年6月30日)。続くラウンド16では、7月4日にフィラデルフィアでフランスに0対1で敗れました。この試合の最優秀選手には、パラグアイのGKオルランド・ヒルが選ばれています(FIFA 2026年7月4日)。
W杯での最高成績は、2010年南アフリカ大会のベスト8です(FIFA 2025年9月4日)。2026年大会より前の出場は8回でした(同上)。
日本との比較
| 項目 | パラグアイ(2026シーズン) | 日本(2026-27シーズン) |
|---|---|---|
| 開催時期 | 1月下旬〜11月下旬。前半(アペルトゥーラ)と後半(クラウスーラ)に分かれる | 2026年8月7日開幕・2027年6月6日閉幕(Jリーグ「大会概要 J1」) |
| 1部の規模 | 12クラブ。各大会22節×年2大会 | J1は20クラブ・全38節(同上) |
| 1部の優勝 | 年に2回(各大会の勝ち点1位) | 年に1回(同上) |
| 1部からの降格 | 3年分の平均勝ち点の下位(2025シーズンは2クラブ) | 年間順位の下位3クラブ(同上) |
| 2部から1部へ | 上位2クラブ(2026年) | 自動昇格2と、J1昇格プレーオフの勝者(同上) |
| 地方と全国のつながり | 首都圏の3部・4部と、地方(UFI)の大会が並び、2部で合流 | J1〜J3・JFLの下に、9つの地域リーグと47の都道府県リーグ(JFA「国内の競技会」) |
どちらの国も1部の下に全国リーグと地域のリーグを持っています。パラグアイは「首都圏」と「地方」という2本の流れが2部で合流する形で、地方のリーグの選抜チームがそのまま2部に加わることがあります。日本は地域リーグからJFLへ、という1本の流れです。クラブ数や国土、人口の分布が大きく違うので、どちらが良いかを単純に比べることはできません。
日本代表との接点では、2010年W杯の決勝トーナメント1回戦で対戦しています。0対0のまま延長でも決着がつかず、PK戦5対3でパラグアイが勝ちました。決めたのはオスカル・カルドソで、パラグアイにとって初めてのベスト8でした(南アフリカ政府通信 SAnews 2010年6月30日)。
パラグアイのクラブに所属した日本人選手は、今回の調査では確認できていません。
試合の日程・結果を見るには
- 順位表:APF「Clasificación Torneo Clausura」
- ニュース・試合結果:APF「Noticias」
- 各クラブの紹介・日程:APF公式サイトのクラブページ(例:Olimpia、Cerro Porteño)
- 公式動画:APF「Videos」、YouTube APF TV(APF公式サイトからリンクされているチャンネル)
- W杯2026のハイライト:FIFA公式サイトの各試合記事
日本から国内リーグを生中継で見る方法は、2026年10月6日時点で確認できていません。
よくある質問
Q. パラグアイのサッカーリーグは何部まで?
A. APFが運営する首都圏のピラミッドは4部(プリメーラC)までです。これとは別に、地方(UFI)のリーグから2部・3部へつながる大会があります。
Q. 1部は何チーム? いつ行われている?
A. 2026シーズンは12クラブです。1月下旬〜5月のアペルトゥーラと、7月下旬〜11月下旬のクラウスーラで、年に2回優勝を決めます。
Q. 1部から降格するクラブはどう決まる?
A. その年と過去2年の勝ち点を合計し、試合数で割った「平均勝ち点」の下位が降格します。2025シーズンは2クラブが降格しました。
Q. パラグアイはW杯2026に出場した?
A. 出場しました。2010年以来16年ぶりで、ラウンド32でドイツをPK戦で破り、ラウンド16でフランスに0対1で敗れました。
Q. 日本とパラグアイのサッカーの縁は?
A. 2010年W杯の決勝トーナメント1回戦で対戦し、PK戦でパラグアイが勝ってベスト8に進みました。
調査基準日:2026年10月6日(リーグ制度・日程は2026シーズン)

