メキシコの1部リーグ「リーガMX(Liga MX)」は、1年を前期の「アペルトゥーラ(Apertura)」と後期の「クラウスーラ(Clausura)」に分け、それぞれで優勝クラブを決めます。2026-27シーズンは18クラブで、どちらの大会も17節のリーグ戦の上位8クラブが「リギージャ(Liguilla)」と呼ばれる決勝トーナメントに進みます(リーガMX 競技規程 2026-27)。
もう一つの大きな特徴は、1部と2部の間に昇格・降格がないことです。2026-27シーズンの規程は、1部のクラブが2部へ降格することも、2部のクラブが1部へ昇格することもないと定めています(同 第35条)。
メキシコは2026年、カナダ、アメリカとともにFIFAワールドカップを開催しました。W杯を3回開いた国はメキシコだけです(FIFA「How Mexico have fared as FIFA World Cup hosts」2025年3月27日)。
この記事では、次のことがわかります。
- メキシコのリーグは何部まであり、どうつながっているか。なぜ昇格・降格がないのか
- 外国人選手の登録と出場のルール
- どのクラブから見始めればいいか、公式の日程・結果はどこで見られるか
- W杯2026の成績と、日本とメキシコのサッカーの縁
- 日本のリーグと何が違うか
※リーグ制度は2026-27シーズンの協会・リーグ規程にもとづきます。対象は男子のシニアのリーグで、女子は概要だけを扱います(2026年10月16日確認)。
メキシコと日本
メキシコは北アメリカ大陸の南部にある国で、北はアメリカと接しています。憲法は、メキシコが「先住民族にもとづく多文化の国」であると定め、先住民族が自分たちの言語を守り発展させる権利を認めています(メキシコ憲法 第2条)。リーグや協会の公式サイトはスペイン語で書かれています。
日本とメキシコは1888年に修好通商条約を結びました。メキシコ外務省は、この条約をメキシコにとって初めてのアジアの国との条約であり、日本にとっては西洋の国と結んだ初めての対等な条約だったと説明しています(メキシコ外務省 2018年11月26日)。日本企業の進出も多く、外務省の統計では2023年10月1日時点で1,498の拠点があります(JETRO 2025年3月19日)。
1968年、アステカで日本が銅メダル
日本サッカーとメキシコには、特別な試合があります。1968年のメキシコシティ五輪で、日本代表は1968年10月24日の3位決定戦で開催国メキシコに2-0で勝ち、銅メダルを取りました。2点とも釜本邦茂選手のゴールで、会場はエスタディオ・アステカでした(JFA「男子オリンピックの歴史 1968」)。
メキシコのサッカーは、どう広がってきたか
協会の成立
メキシコサッカー連盟(FMF)は1927年8月23日に生まれ、1929年にFIFAに加盟しました(FMF「Historia」)。北中米カリブ海の連盟であるConcacafの創設メンバーでもあります(Concacaf「Mexico」)。
W杯を3回開いた国
メキシコは1970年、1986年、2026年の3回、W杯を開催しました。過去の最高成績は、自国開催だった1970年と1986年のベスト8です(FIFA 2025年3月27日)。
その舞台になったのがメキシコシティのエスタディオ・アステカです。1970年、1986年、2026年のすべてで開幕戦が行われ、3つのW杯で試合を開いた初めてのスタジアムになりました(FIFA 2026年7月6日)。現在は「エスタディオ・バノルテ(Estadio Banorte)」という名前で、W杯の期間中はFIFAの表記で「メキシコシティ・スタジアム」と呼ばれました。改修後はクラブ・アメリカが本拠地として戻っています(クラブ・アメリカ公式)。
街とクラブ、ライバル関係
メキシコのクラブは、街どうし、同じ街のクラブどうしのライバル関係がはっきりしています。リーガMXは、次の対戦を「クラシコ」として紹介しています(リーガMX 2025年1月3日)。
- クラシコ・ナシオナル:グアダラハラ(チーバス)対クラブ・アメリカ。グアダラハラと首都のクラブの対戦
- クラシコ・レヒオ:ティグレス対モンテレイ。北部のモンテレイ都市圏の2クラブの対戦(Concacaf 2024年8月)
- クラシコ・カピタリーノ:プーマスUNAM対クラブ・アメリカ。同じ首都のクラブどうしの対戦
リーグの仕組み(男子・2026-27シーズン)
| 階層 | 名称 | チーム数 | 昇格 | 降格 | 運営 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1部 | リーガMX(Liga MX) | 18 | (最上位) | なし(2026-27シーズンは降格を行わない) | リーガMX(FMFの体系の中で運営) |
| 2部 | リーガ・デ・エクスパンシオンMX(Liga de Expansión MX) | 16(うち1部クラブの下部チーム2、3部からの招待参加2) | 1部への昇格なし | 2026-27シーズンは3部への降格なし | FMFの体系の中のリーグ |
| 3部 | リーガ・プレミア(Liga Premier) | 公式資料で未確認 | 報道では、最上位グループの王者が2部の参加条件を満たせば2部へ | 公式資料で未確認 | リーガ・プレミア |
| 4部 | リーガTDP(Liga TDP) | 公式資料で未確認 | 公式資料で未確認 | 公式資料で未確認 | 公式資料で未確認 |
| 5部以下 | アマチュア部門(Sector Amateur) | 地域ごと | 公式資料で未確認 | 公式資料で未確認 | FMFのアマチュア部門 |
出典:1部はリーガMX 競技規程 2026-27 第4・22・26・34・35条、2部はリーガ・デ・エクスパンシオンMX 競技規程 2026-27 第4・22・26・35条。3部以下は報道(Milenio 2026年8月9日、Telemundo 2026年8月20日)で、FMFの公式文書では確認できていません。
1部:前期と後期、それぞれにリギージャ
2026-27シーズンのリーガMXは、前期(アペルトゥーラ2026)と後期(クラウスーラ2027)の2大会です。どちらの大会も、18クラブが1回ずつ対戦する全17節のリーグ戦を行います(規程 第22・24条)。
リーグ戦の上位8クラブがリギージャに進みます。準々決勝は1位対8位、2位対7位という組み合わせで、ホーム&アウェーの2試合を戦います。2試合の合計が同点の場合、準々決勝と準決勝はリーグ戦の順位が上のクラブが勝ち上がります。決勝だけは延長戦とPK戦で決着をつけます(規程 第26・30〜32条)。
前のシーズンまでは、リギージャの前に残りの枠を争う「プレーイン」がありました。2026年4月のオーナー総会で廃止が決まり、2026-27シーズンの規程にはありません(Agencia de Noticias SLP 2026年4月23日、規程 第26条)。
なぜ昇格・降格がないのか
1部と2部の昇格・降格は、2020年に新型コロナウイルスの影響で止まりました。その後は、降格の代わりに、成績が下位のクラブが罰金を払う仕組みが続いていました(Sports Illustrated México 2026年7月16日)。
2026-27シーズンの規程は、FMFの理事会の決定として、1部からの降格も2部からの昇格もないと定めています(規程 第35条)。降格を決めるために使われてきた「勝ち点率の表(Tabla de Cociente)」は残りますが、扱いは「統計のため」になり、罰金の決まりもなくなりました(規程 第34条)。
この決定には反対もあります。報道によると、2部のクラブの一部は、昇格・降格の再開を求めてスポーツ仲裁裁判所(CAS)に訴えています(El Tiempo 2026年8月14日)。今後の扱いは、2026年10月16日時点で決まっていません。
2部:1部の下部チームと「招待クラブ」
2部のリーガ・デ・エクスパンシオンMXは、2026-27シーズンは16クラブです。このうちクルス・アスル・イダルゴとタパティオの2チームは、1部クラブの下部チーム(filial)です。ドゥランゴとトラスカラの2クラブは、3部のリーガ・プレミアから「招待」を受けて参加しています(2部規程 第4条)。
2部も全15節のリーグ戦の上位8クラブが決勝トーナメントに進みます(同 第22・26条)。1部への昇格はなく、2026-27シーズンは3部への降格もありません。その代わり、勝ち点率の表で下位3クラブは、リーグの安定のための基金にお金を払います。下部チームと招待クラブは、この支払いを免除されます(同 第35条)。
3部・4部:再編が進む下部リーグ
3部のリーガ・プレミアは、2026年8月の総会で、「プリメーラ・プレミア」「プレミアA」「プレミアB」の3つの段に分け直すことを決めたと報じられています。各段の間で昇格・降格があり、プリメーラ・プレミアの王者は、2部の参加条件を満たせば2部へ上がれる形にするとされています(Milenio 2026年8月9日、El Universal)。
FMFは2026年8月、1部への参加は競技の成績ではなく、総会が定める基準を満たすことを条件にする新しいモデルを示したと報じられています。2部から下は「2部→3部→4部→アマチュア部門」のつながりとして整理するとされています(Telemundo 2026年8月20日)。2026-27シーズンにアトランテが1部に加わったのも、成績による昇格ではありません(Fox Sports México 2026年8月20日)。それまでの数シーズンは、3部の王者が条件を満たせず2部に上がれない例がありました(同上)。
その下には4部のリーガTDP、さらにアマチュア部門があります。チーム数、グループ数、昇格の数は、リーガ・プレミアとリーガTDPの公式文書を読めなかったため、この記事では書いていません。
外国人選手の登録と出場
リーガMXの規程では、メキシコで育成されていない選手(NFM)を、1クラブ9人まで登録できます。ピッチの上に同時に立てるNFMは7人までで、メキシコで育成された選手(FM)が常に4人以上いなければなりません(規程 付則I 第8・9条、第47条)。
若手の起用にも決まりがあります。2004年以降に生まれたメキシコ育成の選手を、1大会で合計1,170分以上起用しなければならず、守れないと勝ち点3を引かれます(規程 第49条)。
2部では、NFMの登録は5人まで、ピッチ上は同時に3人までです(2部規程 第46条)。
アメリカのリーグとの大会
リーガMXの全18クラブは、アメリカ・カナダのMLSの18クラブとともに、夏のカップ戦「リーグス・カップ(Leagues Cup)」に出場します。2026年大会は8月4日から9月6日まで行われ、リーガMXはこの間リーグ戦を中断しました(Leagues Cup 公式、規程 付則VII)。
女子リーグ
女子1部の「リーガMXフェメニル(Liga MX Femenil)」は、2026-27シーズンの前期は18チームを9チームずつ2組に分けて行っていると報じられています(El Informador 2026年7月24日)。女子の規程の本文は確認できていないため、詳しい方式はこの記事では扱いません。
2026-27シーズンの日程
前期(アペルトゥーラ2026)は、W杯決勝(2026年7月19日)の前の7月16日に開幕しました。第17節は11月20〜22日で、その後にリギージャが行われます(El Imparcial 2026年7月15日)。決勝の日程は、メキシコのクラブがFIFAのクラブ大会に出場するかどうかで変わる可能性があると報じられています(同上)。
後期(クラウスーラ2027)の開幕日は、2026年10月16日時点で公式の発表を確認できていません。
代表:2026年W杯
メキシコ代表は開催国として出場しました。2026年6月11日、エスタディオ・アステカでの大会の開幕戦で南アフリカに2-0で勝ちました(FIFA 2026年6月11日)。
グループAは韓国に1-0、チェコに3-0で勝ち、3戦全勝・無失点の1位で突破しました。ラウンド32ではエクアドルに2-0で勝ちましたが、7月5日のラウンド16でイングランドに2-3で敗れました。大会の成績は4勝1敗でした(FIFA「Mexico: Fixtures」、FIFA メキシコ対エクアドル 2026年7月1日、Concacaf 2026年7月5日)。過去最高のベスト8には届きませんでした。
見始めるならこのクラブ
クラブ・アメリカ(Club América)
首都メキシコシティのクラブで、1916年10月12日に生まれました。クラブの発表では、リーガMXの優勝は16回、Concacafの大会の優勝は7回です(クラブ・アメリカ公式 2026年7月13日)。本拠地はエスタディオ・バノルテ(アステカ)です。
グアダラハラ(チーバス/Chivas)
グアダラハラのクラブで、1906年に生まれました。プロ化した1943-44シーズンから、メキシコ人選手だけでチームをつくる方針を続けています(チーバス公式「Historia」)。
クルス・アスル(Cruz Azul)
メキシコシティのクラブです。北中米カリブ海のクラブ王者を決める大会(現在のConcacafチャンピオンズカップ)の優勝はクラブ・アメリカと並ぶ7回で、2025年の決勝ではバンクーバーに5-0で勝ちました(Concacaf 2026年1月30日、Concacaf 2025年6月)。2026年の同大会は、トルーカがティグレスをPK戦で破って3回目の優勝をしています(Concacaf 2026年5月31日)。
プーマスUNAM(Pumas UNAM)
メキシコ国立自治大学(UNAM)のクラブです。本拠地の大学スタジアム(Estadio Olímpico Universitario)は、大学のアメリカンフットボールとサッカーのプーマスが使うスタジアムだと、UNAMが説明しています(UNAM 2016年11月20日)。
パチューカ(Pachuca)
日本の本田圭佑選手が、2017年7月にACミランからパチューカに加わりました(CBS Sports 2017年7月)。
日本との比較
| 項目 | メキシコ(2026-27シーズン) | 日本(2026-27シーズン) |
|---|---|---|
| 開催時期 | 前期は2026年7月16日開幕。後期は2027年前半 | J1は2026年8月7日開幕・2027年6月6日閉幕 ※1 |
| 1部の規模・方式 | 18クラブ。前期・後期それぞれ全17節+上位8クラブのリギージャで、年2回優勝を決める | 20クラブ・全38節のリーグ戦で年1回 ※1 |
| 1部と2部の入れ替え | なし(規程で昇格・降格を行わないと定める) | J1の下位3クラブが降格。J2の上位2クラブが自動昇格、3〜6位のプレーオフ勝者が昇格。ライセンス判定で数が変わることがある ※1 |
| 外国人選手 | 1部は育成外の選手の登録9人まで、ピッチ上7人まで | 日本のルールはJリーグの規程による(この記事では比較していません) |
| 全国リーグと地域 | 1〜4部の下にアマチュア部門 | J1・J2・J3・JFLの下に、地域リーグ(9地域)と都道府県リーグ(47)※2 |
※1 Jリーグ「大会概要 J1」
※2 JFA「国内の競技会」
いちばん大きな違いは、優勝の決め方と入れ替えの仕組みです。日本は1年のリーグ戦の順位で優勝と降格を決めます。メキシコは半年ごとのリーグ戦で上位8クラブを決め、トーナメントで優勝を決めます。2026-27シーズンの1部には降格がないため、順位表の下の方の試合が持つ意味も日本とは違います。どちらが良いかではなく、リーグが何を大事にしてきたかの違いとして見ると、試合の見方が変わります。
試合の日程・結果を見るには
- 1部の日程:リーガMX公式「Calendarios」
- 1部の結果:リーガMX公式「Partidos」
- 2部:リーガ・デ・エクスパンシオンMX公式(リーガMX公式サイトからリンクされているサイト)
- 規程(スペイン語のPDF):FMF「Reglamentos」
- 代表:メキシコ代表公式「Mi Selección」
- 北中米のクラブ大会:Concacaf公式
公式サイトはスペイン語が中心です。日本から試合を生中継で見る方法は、2026年10月16日時点で確認できていません。
よくある質問
Q. メキシコのサッカーリーグは何部まで?
A. 1部リーガMX、2部リーガ・デ・エクスパンシオンMX、3部リーガ・プレミア、4部リーガTDPがあり、その下にアマチュア部門があります。3部は2026年8月に3つの段に分け直すことが報じられています。
Q. リーガMXに昇格・降格はある?
A. 2026-27シーズンはありません。規程で、1部から2部への降格も、2部から1部への昇格も行わないと定めています。昇格・降格は2020年から止まっています。
Q. リーガMXはいつ行われている?
A. 前期(アペルトゥーラ)が7月ごろから12月ごろ、後期(クラウスーラ)が年明けからです。2026-27シーズンの前期は2026年7月16日に開幕しました。
Q. 外国人選手は何人まで出られる?
A. 2026-27シーズンのリーガMXでは、メキシコで育成されていない選手は1クラブ9人まで登録でき、同時に出場できるのは7人までです。
Q. メキシコは2026年W杯でどこまで勝ち進んだ?
A. 開催国として出場し、グループAを3戦全勝で突破しました。ラウンド32でエクアドルに勝ち、ラウンド16でイングランドに2-3で敗れました。
Q. 日本とメキシコのサッカーにはどんな縁がある?
A. 1968年のメキシコシティ五輪で、日本代表はエスタディオ・アステカでの3位決定戦でメキシコに2-0で勝ち、銅メダルを取りました。2017年には本田圭佑選手がパチューカでプレーしています。
調査基準日:2026年10月16日(リーグ制度は2026-27シーズン)


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