南アフリカの1部リーグ「ベットウェイ・プレミアシップ(Betway Premiership)」は、2026/27シーズンは2026年8月1日に開幕し、2027年5月22日に閉幕する日程です。1部と2部はプロリーグのPSL(Premier Soccer League)が運営し、3部から下は南アフリカサッカー協会(SAFA)が州や地域ごとにリーグを運営しています。
人口は約6,352万人(2026年6月30日時点の推計、南アフリカ統計局 Stats SA「Mid-year population estimates 2026」2026年7月30日公表)。人種で分けられていたサッカーの組織が1つにまとまったのは1991年で、国際舞台に戻ったのは1992年です。その18年後の2010年に、アフリカで初めてのW杯を開きました。
この記事では、次のことがわかります。
- 南アフリカのリーグは何部まであり、プロとアマチュアがどうつながっているか
- アパルトヘイト期の分断から、協会の統合、2010年W杯までの流れ
- どのクラブから見始めればいいか、公式の日程・結果はどこで見られるか
- 日本のリーグと何が違うか、日本とどんな接点があるか
※対象は男子のトップチームのリーグです。女子リーグ(Hollywoodbets Super League など)は今回の対象外です。リーグ制度と日程は2026/27シーズンの発表と規程にもとづきます(2026年10月5日確認)。
南アフリカと日本
南アフリカはアフリカ大陸の最南端にある国で、海岸線は3,000kmを超えます。ナミビア、ボツワナ、ジンバブエ、モザンビークなどと国境を接しています(南アフリカ政府「Geography and climate」)。首都機能は3つの都市に分かれていて、行政はプレトリア、立法はケープタウン、司法はブルームフォンテーンです。国は9つの州に分かれています(南アフリカ政府「South Africa at a glance」)。
公用語は12あります。英語、アフリカーンス語、イシズールー語、イシコサ語などに加え、2023年7月の憲法改正で南アフリカ手話が12番目の公用語になりました(南アフリカ政府「South Africa’s people」、ラマポーザ大統領の署名式での演説 2023年7月19日)。
日本との正式な外交関係は1992年1月13日に結ばれ、2010年には「戦略的協力パートナーシップ」に格上げされました。在日南アフリカ大使館によると、南アフリカには日本企業が273社進出しています(在日南アフリカ大使館「Bilateral Relations」)。
南アフリカのサッカーは、どう歩んできたか
人種で分けられた組織から、1つの協会へ
南アフリカで記録に残る最初のサッカーの試合は1862年です。その後、1880年代から1910年代にかけて、アフリカ系、インド系、カラード(混血の人々)それぞれのサッカー協会が都市ごとにできていきました(South African History Online「Football in South Africa」)。
アパルトヘイト(人種隔離政策)の時代、サッカーの組織も人種で分かれていました。1951年には、アフリカ系、カラード、インド系の人々が「南アフリカサッカー連盟(SASF)」をつくり、スポーツでの隔離に反対しました。南アフリカは1961年から1992年まで、国際サッカーの舞台から離れることになります(同上)。
転機は1991年12月です。複数の協会が1つになり、人種で分けない統一組織として南アフリカサッカー協会(SAFA)が生まれました。FIFAは1992年7月3日に南アフリカの復帰を認め、代表チームは同年7月7日にカメルーンに1対0で勝ちました。1996年にはアフリカネイションズカップで優勝し、1998年には初めてW杯に出場しています(同上)。
国内のプロリーグも、この流れの中で1つにまとまりました。現在のPSLは1996年に発足しています(ESPN 2025年1月27日)。
2010年、アフリカで初めてのW杯
2010年のW杯は、アフリカで初めて開かれたW杯です。開幕戦は南アフリカ対メキシコで、会場はヨハネスブルグのサッカー・シティでした。南アフリカのシピウェ・チャバララが大会最初のゴールを決めています(FIFA 2020年6月11日)。
サッカー・シティは現在「FNBスタジアム」と呼ばれ、2010年W杯の開会式と決勝の会場でした。1990年には釈放されて間もないネルソン・マンデラ氏がここで演説し、2013年には同氏の追悼式も行われています。いまはソウェト・ダービーの会場として使われています(South African History Online「Soccer City (FNB Stadium)」)。
同じ地区から生まれた2つのクラブ「ソウェト・ダービー」
ヨハネスブルグのソウェトからは、1部の2つのクラブが生まれています。
オーランド・パイレーツは、1937年にソウェトのオーランド地区で「オーランド・ボーイズ・クラブ」として始まりました。「パイレーツ」という名前は、当時のゴールキーパーが映画から取って提案したものです(South African History Archive「Blazing a Trail for Black Football」)。
カイザー・チーフスは、1970年1月7日にソウェトのオーランド・ウェストで設立されました。創設者のカイザー・モタウンは、10代のころパイレーツでプレーし、その後アメリカのアトランタ・チーフスに渡った選手です。帰国後、パイレーツを離れた選手たちも加わった招待チーム「カイザー・イレブン」が多くのファンを集め、そこから正式なクラブになりました(カイザー・チーフス公式「History」)。
この2クラブの対戦が「ソウェト・ダービー」です。片方のクラブの選手が、もう片方のクラブをつくった。同じ地区の、この関係から始まった対戦です。
リーグの仕組み(男子・2026/27シーズン)
| 階層 | 名称 | チーム数 | 昇格 | 降格 | 運営 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1部 | ベットウェイ・プレミアシップ(Betway Premiership) | 16 | (最上位) | 16位は自動降格。15位は昇格プレーオフへ | PSL |
| 2部 | モツェペ・ファウンデーション・チャンピオンシップ(Motsepe Foundation Championship/規程上の名称は National First Division) | 16 | 1位は自動昇格。2・3位は昇格プレーオフへ | 15・16位はSAFAのリーグへ降格 | PSL |
| 3部 | ABCモツェペ・リーグ(ABC Motsepe League/SAFA Second Division) | 州ごとのリーグ(全国の総数は未確認) | 各州の優勝チームが全国プレーオフに進み、2チームが2部へ昇格 | SAFAの規程による | SAFA(州ごと) |
| 4部 | ハリウッドベッツ地域リーグ(Hollywoodbets Men’s Regional League/SAFA Men’s Regional League) | SAFAの地域ごとのリーグ | 州ごとのプレーオフを経て、各州2チーム(全国18チーム)が3部へ昇格 | SAFAの規程による | SAFA(地域ごと) |
| 5部以下 | 地域ごとのリーグ | 地域ごとに異なる | 地域ごとの規程による | 地域ごとの規程による | SAFAの各地域 |
出典:NSL Handbook(2019年7月4日採択版)規則7・8・34、PSL「2026/27シーズン日程」2026年7月28日、PSL 順位表ページ、SAFA「ABC Motsepe League」、SAFA「Hollywoodbets Men’s Regional League」
※昇格・降格の数は、クラブの除名や辞退などで変わることがあります。上の数は規程の原則です。
PSLとSAFAの役割分担
PSLの規程集(NSL Handbook)は、PSLを「SAFAが認める唯一のプロサッカー団体」と位置づけ、1部(Premier Division)と2部(National First Division)を運営するとしています(NSL Handbook 規則7.1・7.2)。
3部のABCモツェペ・リーグからはSAFAの運営です。3部は国内の9つの州ごとにリーグが分かれています(SAFA「ABC Motsepe League」)。各州の優勝チームがシーズン終わりの全国プレーオフに集まり、2部へ上がるのは2チームです(同上、NSL Handbook 規則7.4)。
4部の地域リーグは、毎年9月に始まります。SAFAによると、2,000を超える地域のクラブ、5万人を超える選手が参加しています(SAFA「Hollywoodbets Men’s Regional League」)。このリーグは2019年に南アフリカ・ブルワリーズ(SAB)のスポンサーが終わったあとスポンサー不在の時期があり、2023年からハリウッドベッツが冠スポンサーになっています(Daily Dispatch 2023年8月29日)。かつての「SABリーグ」という呼び名は、いまの正式名称ではありません。
1部と2部の入れ替え:3チームのミニリーグ
1部の最下位(16位)は自動で2部に降格し、2部の1位は自動で1部に上がります(NSL Handbook 規則7.1・7.2)。
残りの1枠は「昇格プレーオフ」で決まります。1部の15位、2部の2位と3位の3チームが、ホーム&アウェーの総当たりで戦い、1位になったチームが翌シーズンの1部に参加します。残る2チームは2部です(NSL Handbook 規則7.3、SuperSport 2024年5月28日)。1部のチームにとっては、自分の残留を2部の2チームと争う形です。
外国籍選手、若手、リザーブ
- 外国籍選手:1クラブが契約できるのは5人までです。1部では、登録した外国籍選手を試合に何人でも出せます。2部では先発に入れられるのは3人までです(NSL Handbook 規則34)。
- 2部の若手起用:2部のクラブは、23歳以下で南アフリカ代表の資格がある選手を試合のメンバーに5人以上入れ、常に2人以上をピッチに置く決まりです(NSL Handbook 規則35、PSL 2016年8月19日)。
- リザーブ:1部クラブの若手チームは、リーグの階層には入らず、PSLのリザーブリーグ「DStv Diski Challenge」で戦います(PSL 2020年11月30日)。
※外国籍選手と若手の規定は、確認できた最新の規程集(2019年採択版)にもとづきます。その後の改定の有無は確認できていません。
カップ戦
PSLはリーグ戦のほかに、ネドバンク・カップ、MTN8、カーリング・ノックアウトといったカップ戦も運営しています(PSL公式サイト)。
2026/27シーズンの日程
PSLの発表では、2026/27シーズンの1部は2026年8月1〜2日の週末に開幕し、2027年5月22日に閉幕します。2部は2026年8月21日に開幕する日程です。シーズンの最後に、2027年5月23日から6月9日まで昇格プレーオフが行われます(PSL 2026年7月28日)。
1部は16チームがホーム&アウェーで2回ずつ対戦するので、1チーム30試合です(NSL Handbook 規則8.1)。
初心者:南半球の国なのに、シーズンはヨーロッパと同じ8月開幕なんですね。
解説役:はい。2026/27シーズンは8月1日開幕、5月22日閉幕です。日本も2026-27シーズンから8月開幕に変わり、J1は2027年6月6日に閉幕します。今季は日本と南アフリカの開幕の時期がほぼ重なっています。
※この会話は説明のための架空のものです。
見始めるならこのクラブ
オーランド・パイレーツ(Orlando Pirates)
ソウェトのオーランド地区で1937年に生まれたクラブです(上の「ソウェト・ダービー」)。1995年に、アフリカのクラブ王者を決める大会(現在のCAFチャンピオンズリーグ)で優勝しました(CAF 2026年4月28日)。
カイザー・チーフス(Kaizer Chiefs)
1970年にソウェトのオーランド・ウェストで設立されたクラブです。創設者のカイザー・モタウンは、パイレーツ出身の選手でした(カイザー・チーフス公式)。パイレーツとのソウェト・ダービーは、FNBスタジアムで行われます。
マメロディ・サンダウンズ(Mamelodi Sundowns)
行政上の首都プレトリアにあるロフタス・ヴァースフェルドで、国際試合を戦っているクラブです。2016年にCAFチャンピオンズリーグで優勝し、パイレーツ以来21年ぶりに南アフリカのクラブがアフリカ王者になりました。2001年と2024/25シーズンにも決勝に進んでいます(CAF 2026年4月28日)。
南アフリカ代表「バファナ・バファナ」は、2026年W杯のアフリカ予選グループCを首位で突破し、開催国だった2010年以来16年ぶりにW杯に出場しました。本大会ではグループAを2位で通過し、史上初めて決勝トーナメントに進みました(FIFA「World Cup 2026: Qualified and eliminated teams」2026年6月27日、FIFA「Qualified teams for the FIFA World Cup 2026」2026年3月31日)。
日本との比較
| 項目 | 南アフリカ(2026/27シーズン) | 日本(2026-27シーズン) |
|---|---|---|
| 開催時期 | 8月開幕・5月閉幕。昇格プレーオフは5月下旬〜6月上旬 | 2026年8月7日開幕・冬に中断・2027年6月6日閉幕(Jリーグ「大会概要 J1」)※1 |
| 1部の規模 | 16クラブ・1チーム30試合 | J1は全38節・380試合(20クラブ)※2 |
| 1部から2部へ | 16位が自動降格。15位は2部2・3位との3チームのプレーオフ | 下位3が降格 ※2 |
| 2部から1部へ | 1位が自動昇格。2・3位は1部15位とのプレーオフで1位なら昇格 | 自動昇格2。3〜6位のJ1昇格プレーオフ優勝が昇格。ライセンス判定で数が変わることがある ※2 |
| プロと地域リーグ | 1・2部はPSL(プロ)。3部から下はSAFAが州・地域ごとに運営 | J1・J2・J3・JFLの下に、地域リーグ(9地域)と都道府県リーグ(47)※3 |
※1 Jリーグ「シーズン移行」(2023年12月19日の理事会で決定)
※2 Jリーグ「大会概要 J1」
※3 JFA「国内の競技会」
大きな違いは、プロとアマチュアの境目がはっきりしていることです。南アフリカでは、1部と2部をプロ団体のPSLがまとめて運営し、3部から下は協会のSAFAに切り替わります。日本はJ1からJ3までをJリーグが運営し、その下にJFL、地域リーグ、都道府県リーグが続きます。国土、クラブ数、移動距離、リーグの成り立ちが大きく違うので、どちらが良いかを単純に比べることはできません。
日本との接点
2010年W杯の4会場
日本代表は2010年W杯で、南アフリカの4つの都市で戦いました。ブルームフォンテーン(フリー・ステイト・スタジアム)でカメルーンに1対0、ダーバン(ダーバン・スタジアム)でオランダに0対1、ルステンブルク(ロイヤル・バフォケン・スタジアム)でデンマークに3対1。ラウンド16はプレトリア(ロフタス・ヴァースフェルド・スタジアム)でパラグアイと0対0、PK戦3対5で敗れました(JFA「2010 FIFAワールドカップ南アフリカ」)。
プレトリアのロフタス・ヴァースフェルドは、いまマメロディ・サンダウンズが国際試合で使っている会場です。
PSLでプレーした日本人選手
日本人FWのノリカズ・ムラカミ(Norikazu Murakami)選手は、2009年にPSLのプラチナム・スターズに加入し、4得点を挙げたあとゴールデン・アローズでもプレーしました。南アフリカの地元紙は2023年に、PSLでプレーした日本人は同選手が最初で、その時点で唯一だと伝えています(Pretoria News 2023年6月24日)。プラチナム・スターズは、日本がデンマークに勝ったロイヤル・バフォケン・スタジアムを本拠地にしていたクラブで、2018年に売却されて消滅しています(Sowetan 2022年11月3日)。
日本で戦ったサンダウンズ
アフリカ王者として出場したFIFAクラブワールドカップ ジャパン2016では、サンダウンズが2016年12月11日に市立吹田サッカースタジアムで鹿島アントラーズと対戦し、0対2で敗れています(JFA、Jリーグ)。
試合の日程・結果を見るには
- 日程:PSL公式「Fixtures」
- 結果:PSL公式「Results」
- 順位表:PSL公式「Log」(1部と2部の両方)
- 3部・4部:SAFA公式「ABC Motsepe League」、SAFA公式「Hollywoodbets Men’s Regional League」
- 公式SNS:PSL公式 Facebook、PSL公式 X(PSL公式サイトからリンクされているアカウント)
PSL公式の動画チャンネルと、日本から試合を見る方法は、2026年10月5日時点で確認できていません。
よくある質問
Q. 南アフリカのサッカーリーグは何部まで?
A. 1部と2部がプロリーグのPSL、3部(ABCモツェペ・リーグ)が州ごとのリーグ、4部が地域ごとのリーグです。その下にも地域ごとのリーグがあり、形は地域によって違います。
Q. 南アフリカのリーグはいつ行われている?
A. 2026/27シーズンの1部は、2026年8月1日に開幕し、2027年5月22日に閉幕します。その後6月9日まで昇格プレーオフがあります。
Q. 1部から何チーム降格する?
A. 最下位の16位は自動降格です。15位は、2部の2位・3位との3チームのプレーオフに回り、1位になれば1部に残ります。
Q. 南アフリカは2026年W杯に出場した?
A. 出場しました。2010年の自国開催以来16年ぶりの本大会で、グループステージを突破して史上初の決勝トーナメント進出を果たしました。
Q. ソウェト・ダービーとは?
A. ソウェトのオーランド地区から生まれたオーランド・パイレーツとカイザー・チーフスの対戦です。カイザー・チーフスの創設者は、パイレーツでプレーしていた選手でした。
Q. 公用語はいくつ?
A. 12です。2023年の憲法改正で、南アフリカ手話が12番目の公用語になりました。
調査基準日:2026年10月5日(リーグ制度・日程は2026/27シーズン。男子のみ)

