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アルジェリアのサッカーリーグはどんな仕組み? プロは1部だけ、2部から下はアマチュア。独立前に生まれた「FLNチーム」の物語【2026-27シーズン】

2026 10/13
世界のサッカー調査
2026年10月13日

アルジェリアの1部リーグ「リーグ1・モビリス(Ligue 1 Mobilis)」は、2026-27シーズンは16クラブが2回ずつ対戦する全30節で行われます。2026年8月下旬に開幕し、最終節は2027年5月下旬の予定です(Radio Algérie 2026年7月12日、プロリーグLFPの日程発表について)。

この国のリーグの特徴は、「プロ」が1部だけだということです。サッカー協会(FAF)の通達では、1部を「プロのリーグ(الرابطة المحترفة)」、2部を「全国2部・アマチュア(القسم الوطني الثاني هواة)」と呼び分けています。2部から下は、国土の東西南北に合わせてグループを分けたアマチュアのリーグが続きます。

国土は約238万平方キロメートルでアフリカ最大、そのうち約200万平方キロメートルが砂漠地帯です(外務省「アルジェリア基礎データ」)。2025-26シーズンの1部は、地中海沿いの首都アルジェのクラブが優勝し、南西部の内陸の街ベシャールのクラブが2位でした。

この記事では、次のことがわかります。

  • アルジェリアのリーグは何部まであり、昇格・降格がどうつながっているか
  • 独立前のFLNチームから始まる、アルジェリアのサッカーの歩み
  • どのクラブから見始めればいいか、日程・結果はどこで見られるか
  • 日本のリーグと何が違うか

※リーグ制度は2026-27シーズンの協会の通達・規程にもとづきます。対象は男子のシニアのリーグで、女子のリーグは昇格・降格の決まりだけを紹介します(2026年10月5日確認)。

目次

アルジェリアと日本

アルジェリアは北アフリカのマグレブ地域にある国で、東はチュニジアとリビア、西はモロッコ、南はニジェールやマリと国境を接しています(駐日アルジェリア大使館「About Algeria」)。首都はアルジェです。

国語・公用語はアラビア語とベルベル語(タマジグト語)で、フランス語も国民の間で広く使われています(外務省「アルジェリア基礎データ」)。憲法は「イスラム、アラブ、アマジグ(ベルベル)」を国民のアイデンティティの基本的な要素としています(駐日アルジェリア大使館)。人口は、2024年1月1日時点で4,670万人です(アルジェリア国家統計局ONSの「Démographie Algérienne 2020-2023」を報じたAlgérie Eco 2024年7月12日)。

1962年7月にフランスから独立し、日本は翌日の7月4日に独立を承認しました。実はそれより前の1958年9月に、独立運動を率いたFLN(国民解放戦線)が東京に「極東代表部」を開いています(外務省「アルジェリア基礎データ」)。経済関係はエネルギー分野のプラント建設などが中心で、日本はアルジェリアから天然ガスや原油などを輸入しています(同上)。2025年の大阪・関西万博にはアルジェリア館が出展されました(駐日アルジェリア大使館)。

アルジェリアのサッカーは、どう歩んできたか

国がないうちに生まれた「代表チーム」

1958年4月13日、フランスのリーグでプレーしていたアルジェリア出身の選手たちがクラブを離れ、FLNのチーム「FLNチーム(équipe du FLN)」をつくりました。そのなかには、同じ年にスウェーデンで開かれるW杯にフランス代表として出る可能性のあった選手もいました。チームは1958年から1962年まで、ヨーロッパ、アフリカ、中東、アジアを回って試合をし、アルジェリアの独立を訴えました(Radio Algérie 2024年4月13日)。

その一人、サンテティエンヌのストライカーだったラシド・メフルーフィは、のちに代表監督やサッカー協会の会長も務め、2024年11月に亡くなったときには大統領が弔意を表しました(Radio Algérie 2024年11月8日)。

独立した1962年にアルジェリアサッカー協会(FAF)が生まれ、1963年にFIFAとアフリカサッカー連盟(CAF)に加盟しました(FAFの公式文書のレターヘッド「Founded in 1962, Affiliated with the FIFA and CAF in 1963」、FAF 通達83号)。

1982年、W杯初戦で西ドイツに勝つ

アルジェリアが初めて出場したW杯は、1982年のスペイン大会です。初戦で、当時の強豪西ドイツに勝ちました。大会初ゴールを決めたのは、のちにポルトで欧州チャンピオンズカップ決勝のヒールキックのゴールで知られるラバー・マジェールです。FIFAは、これをアフリカの国がW杯でヨーロッパの国に勝った初めての試合だと紹介しています。この大会の監督の一人は、FLNチームのメフルーフィでした(FIFA「Algeria at the FIFA World Cup: Team profile and history」2026年2月27日)。

アルジェリアは3試合で2勝しましたが、得失点差で1次リーグ敗退となりました。最終日の西ドイツ対オーストリアは、両国がそろって勝ち上がれる1-0のまま、どちらも攻めずに終わったとされ、「ヒホンの恥」と呼ばれています。この試合をきっかけに、FIFAはグループ最終戦を同時刻に行うようにルールを変えました(FIFA「100 great World Cup moments(72)」2022年9月9日)。

1982年の代表選手ラフダル・ベルーミは、FIFAの取材に「1950〜60年代に多くの選手がフランスでのプロのキャリアを捨てて独立戦争に加わった。だから代表と国民の結びつきはとても強い」と話しています(同上)。

アフリカ王者に2回、W杯は5回出場

アフリカ・ネーションズカップでは、自国開催の1990年に初優勝し、2019年のエジプト大会で2回目の優勝を果たしました。どちらもアルジェリア人の監督(1990年アブデルハミド・ケルマリ、2019年ジャメル・ベルマディ)のもとでの優勝です(CAF「Know Your Team – Algeria」)。

W杯は1982年、1986年、2010年、2014年、2026年の5回出場しています。2014年のブラジル大会では初めて1次リーグを突破し、決勝トーナメント1回戦で、のちに優勝するドイツと延長戦まで戦いました(FIFA「Team profile and history」)。

リーグの仕組み(男子・2026-27シーズン)

階層 名称 チーム数・グループ 昇格 降格 運営
1部 リーグ1・モビリス(Ligue 1 Mobilis/プロ) 16(全30節) (最上位) 14・15・16位が2部へ プロリーグ(LFP)
2部 全国2部・アマチュア(通称リーグ2) 32(16チーム×2グループ:中部東/中部西) 各グループ1位が自動昇格。各グループ2・3位の昇格トーナメントの優勝チームも昇格(計3) 各グループ14・15・16位がインターリージョンへ 全国アマチュアリーグ(LNFA)
3部 インターリージョン(Inter-régions) 6グループ(東、中部東、中部西、西、南東、南西)。各グループのチーム数は今回確認できず 各グループ1位が2部へ(計6)。南西グループは2つの組の上位チームによる決定戦で1チーム 東・中部東・中部西・西・南東は各14・15・16位。南西は各組8位と、7位のうち成績の悪い1チーム インターリージョンリーグ
4部 地域1部(Régional 1) 地域リーグごとに16チーム×1グループ(アンナバ、コンスタンティーヌ、バトナ、アルジェ、ブリダ、オラン、サイダ) 各地域リーグの1位と、空きに応じて成績の良い2位 各グループ3チーム以上 地域リーグ
5部 地域2部(Régional 2) 16チーム×2グループ(アルジェ地域リーグは16チーム×3グループ) 地域リーグの規程による 各グループ3チーム以上 地域リーグ
6部・7部 名誉部(Honneur)・準名誉部(Pré-honneur) 県(ウィラヤ)ごとに異なる 名誉部からの昇格は、原則として県リーグごとに1チームまで 県リーグの規程による 県(ウィラヤ)リーグ

出典:FAF 通達83号「2026-27シーズンの昇格・降格方式の更新」2026年9月8日、FAF「アマチュア選手権の法的規定 2026-27」 第2・3条(2部〜7部の名称)、LNFA「アマチュアサッカー規程」2026年9月版 第2条・第48条、LNFA 2026-27シーズン順位表、Radio Algérie 2026年7月12日

※南部のワルグラとベシャールの地域リーグは、インターリージョンから降りてくる3チームをふまえて、それぞれ独自に昇格・降格を決めます(通達83号)。
※棄権や上の階層から降りてくるチームの数によって、昇格の枠が変わることがあります(アマチュアサッカー規程 第48条)。

1部と2部:自動昇格は2つのグループの1位

2部は「中部東(Centre-Est)」と「中部西(Centre-Ouest)」の2グループに分かれ、各16チームです(LNFA 2026-27シーズン順位表)。各グループの1位が1部へ自動で昇格します。

3つ目の昇格枠は、FAFが主催する「昇格トーナメント」で決まります。準決勝は、中部東の2位と中部西の3位、中部西の2位と中部東の3位のたすき掛けです。勝った2チームが決勝を戦い、優勝チームが1部へ上がります。試合はLNFAが決める中立地のスタジアムで行い、延長戦はなく、同点ならすぐにPK戦です(通達83号)。

1部から降格するのは14位から16位の3クラブです(同上)。この「3降格・3昇格」の形は、FAFの理事会が2025年5月31日に決め、2025-26シーズンから使われています(La Sentinelle 2025年6月1日)。

3部から下:広い国土を「方角」で分ける

3部のインターリージョンは、東、中部東、中部西、西、南東、南西の6グループに分かれています。南西グループはさらに2つの組に分かれ、各組の上位チームによる「タイトル決定戦」で2部に上がる1チームを決めます(通達83号)。

4部と5部は、全国に置かれた地域リーグが運営します。通達83号は、アンナバ、コンスタンティーヌ、バトナ、アルジェ、ブリダ、オラン、サイダの7つの地域リーグについて、地域1部を16チーム×1グループ、地域2部を16チーム×2グループ(アルジェは×3グループ)と定めています。南部のワルグラとベシャールの地域リーグは、別の決まりで運営されています。

移動の負担は、制度を決めるうえでも大きな問題です。FAFは2025年5月、ベシャールとワルグラの地域リーグについて、まず県ごとのリーグを行い、そこで勝ち上がったチームでグループ戦をする形に変えました。移動距離と費用を減らすことが目的の一つとされています(La Sentinelle 2025年6月1日)。

その下の名誉部(Honneur)と準名誉部(Pré-honneur)は、県(ウィラヤ)ごとのリーグです。アマチュアの規程は、どの階層のリーグも7チーム以上の参加で始め、ホーム&アウェーの2回戦で行うと定めています(アマチュアサッカー規程 第2条)。

2027-28シーズンからの変更

FAFの理事会は2026年3月、新しい大会方式の案を承認しました。報道によると、案では1部16クラブ・2部18クラブ1グループ・3部2グループなどの6階層になり、南部のタマンラセットに新しい地域リーグをつくることも含まれています(Radio Algérie 2026年3月1日)。2026年4月11日の協会総会がこの新方式を2027-28シーズンから導入することを承認した、と報じられています(Echorouk 2026年4月11日)。

ただし、2026-27シーズンの昇格・降格を定めた通達83号(2026年9月8日)では、2部へ上がるのは6チーム、2部から降りるのは6チームで、2部を18クラブにする内容は書かれていません。報道の間でも、3部以下のグループ数の説明が食い違っています。2027-28シーズンの具体的な形は、協会の正式な発表を待つ必要があります。

女子のリーグ

女子の全国リーグでは、2026-27シーズン終了時に1部の12〜14位が2部へ降格し、2部の各グループ1位の計3チームが1部へ昇格します(通達83号)。

2026-27シーズンの日程と決まり

1部の開幕は2026年8月27〜29日、前半の15節は2026年12月31日までに終わり、後半は2027年1月28〜30日から始まります。最終節(第30節)は2027年5月27〜29日の予定です。国内カップ「アルジェリア・カップ」の決勝は2027年5月1日の予定です(Radio Algérie 2026年7月12日)。

2026年4月の発表では開幕は8月20日とされていましたが、7月にLFPが発表した日程では8月27日開幕になりました(Radio Algérie 2026年4月24日、Radio Algérie 2026年7月12日)。

選手登録の決まりも発表されています。1部の外国人選手は1クラブ4人までです。外国人選手は、加入前の3年間(2024〜2026年)に代表チームで公式戦5試合以上の出場が必要です。また、各クラブは2006年生まれの選手を3人以上登録しなければなりません(Radio Algérie 2026年4月24日)。

見始めるならこのクラブ

MCアルジェ(Mouloudia Club d’Alger/MCA)

首都アルジェのクラブで、愛称は「ドワイヤン(le Doyen=最古参)」です。2025-26シーズンに3連覇を果たし、リーグ優勝は通算10回目になりました(Radio Algérie 2026年5月8日)。

JSサウラ(JS Saoura)

南西部の街ベシャールでホームゲームを行うクラブです。2025-26シーズンの最終節、ベシャールの「8月20日1955年スタジアム」でCSコンスタンティーヌに3-1で勝って2位を確定させ、CAFチャンピオンズリーグの出場権を得ました(Radio Algérie 2026年6月6日)。首都から遠く離れた南西部の街からも、1部の上位を争うクラブが出ています。

2部の「地方の名門」

2部の中部東グループには、2026-27シーズン、アンナバ、コンスタンティーヌ、バトナ、ベジャイアなど東部の主要都市のクラブが入っています(LNFA 2026-27シーズン順位表)。1部だけでなく2部でも、大きな街のクラブどうしの対戦を見ることができます。

代表:2026年W杯

アルジェリア代表は、2026年W杯アフリカ予選のグループGで、第9節にソマリアに3-0で勝ち、2014年以来の出場を決めました(FIFA「Qualified teams for the FIFA World Cup 2026」2026年3月31日)。

本大会ではグループJでアルゼンチン、ヨルダン、オーストリアと同じ組になりました。アルゼンチンに0-3で敗れ、ヨルダンに勝ち、オーストリアとは3-3で引き分けて、成績の良い3位の8チームの一つとして決勝トーナメントに進みました。1982年に「ヒホンの恥」で敗退が決まった相手、オーストリアとの再戦でもありました(FIFA「World Cup 2026: Qualified and eliminated teams」2026年6月27日、FIFA 試合レポート 2026年6月28日)。

ラウンド32では、2026年7月2日にバンクーバーでスイスに0-2で敗れました(FIFA 試合レポート 2026年7月2日)。

日本との比較

項目 アルジェリア(2026-27シーズン) 日本(2026-27シーズン)
開催時期 2026年8月27〜29日開幕・2027年5月27〜29日最終節 2026年8月7日開幕・2027年6月6日閉幕 ※1
1部の規模 16クラブ・全30節 J1は20クラブ・全38節 ※1
1部から2部へ 14〜16位の3クラブが降格 下位3クラブが降格 ※1
2部から1部へ 2つのグループの1位が自動昇格。各グループ2・3位の昇格トーナメントの優勝チームも昇格 上位2クラブが自動昇格。3〜6位のプレーオフ勝者が昇格。ライセンス判定で数が変わることがある ※1
プロと地域の境目 プロは1部だけ。2部・3部は全国のアマチュアリーグ(地域別グループ)。4部・5部は地域リーグ、6部から県リーグ J1・J2・J3・JFLの下に、地域リーグ(9地域)と都道府県リーグ(47)※2

※1 Jリーグ「大会概要 J1」
※2 JFA「国内の競技会」

2026-27シーズンは、日本もアルジェリアも8月に開幕し、翌年の5〜6月に閉幕する日程です。1部から3クラブが降格する点も同じです。

違いは、2部の形です。日本のJ2は全国1つのリーグですが、アルジェリアの2部はアマチュアのリーグで、国を中部東と中部西の2つに分けています。2つのグループの1位がそれぞれ昇格するので、2部の上位争いは2か所で同時に進みます。国土の広さや移動の条件が大きく違うため、どちらの形が良いかを単純に比べることはできません。

日本との接点では、U-17日本代表が2023年3月にアルジェリアで行われた4か国の大会に参加し、U-17アルジェリア代表と3-3で引き分け、2勝1分けで優勝しています(JFA 2023年3月31日)。アルジェリアのクラブに所属する日本人選手は、2026年10月5日時点で確認できませんでした。

試合の日程・結果を見るには

  • 2部の日程・結果:LNFA公式「Calendar」
  • 2部の順位表:LNFA公式「Ranking」
  • 協会の大会情報:FAF公式サイト(「Compétitions」にリーグ1・リーグ2・アルジェリア・カップ)
  • 代表の情報:FIFA「Algeria」

1部を運営するLFPの公式サイトは、2026年10月5日に接続を確認できませんでした。LNFAのサイトはアラビア語が中心です。日本から試合を生中継で見る方法と、公式の動画チャンネルは、2026年10月5日時点で確認できていません。

よくある質問

Q. アルジェリアのサッカーリーグは何部まで?

A. 2026-27シーズンは、1部(リーグ1・モビリス)、2部、3部(インターリージョン)が全国の大会で、4部・5部が地域リーグ、6部・7部が県(ウィラヤ)のリーグです。プロは1部だけです。

Q. アルジェリアのリーグはいつ行われている?

A. 2026-27シーズンの1部は、2026年8月27〜29日に開幕し、2027年5月27〜29日に最終節を迎える予定です。

Q. 2部から何チーム昇格する?

A. 3チームです。2部の中部東・中部西の各グループ1位が自動で昇格し、各グループ2・3位による昇格トーナメントの優勝チームも昇格します。

Q. アルジェリアは2026年W杯に出場した?

A. 出場しました。2014年以来5回目の出場で、グループJを3位で通過し、ラウンド32でスイスに敗れました。

Q. FLNチームとは?

A. 独立前の1958年4月に、フランスのリーグでプレーしていたアルジェリア出身の選手たちがつくったチームです。1962年の独立まで世界各地で試合をして、独立を訴えました。


調査基準日:2026年10月5日(リーグ制度・日程は2026-27シーズン)

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