エクアドルの1部リーグ「LigaPro セリエA」は、2026シーズンは16クラブで行われています。16クラブが2回ずつ対戦する30節を終えると、順位で3つのグループに分かれます。上位6クラブは優勝を、7〜10位の4クラブは国際大会の出場枠を、下位6クラブは1部に残ることを目指して、さらにリーグ戦を戦います。30節で積み上げた勝ち点は、そのまま持ち越されます(LigaPro 競技規程 v.2026 第8〜10条)。
1部と2部の下には、州(provincia)ごとの大会から始まる3部「セグンダ・カテゴリア(Segunda Categoría)」があります。州の大会を勝ち抜いたクラブが全国大会に進み、2部に上がれるのは毎年2クラブだけです。
人口は16,938,986人(2022年国勢調査、エクアドル国立統計センサス局 INEC)。南米大陸の太平洋側にあるこの国の代表は、2026年W杯に出場し、グループステージでドイツに勝ちました。
この記事では、次のことがわかります。
- エクアドルのリーグは何部まであり、優勝と降格がどう決まるか
- 2部に上がるまでの道のりと、2部だけにある年齢のルール
- 港町グアヤキルと首都キトのクラブ、南米の大会での実績
- 日本のリーグと何が違うか、公式の日程・結果はどこで見られるか
※リーグ制度は2026シーズン(1月〜12月の暦年)の規程・発表にもとづきます。対象は男子のシニアのリーグで、女子のリーグは扱いません(2026年10月5日確認)。
エクアドルという国と、日本とのつながり
スペイン語と、先住民の言葉
エクアドルは南米の北西部、太平洋に面した国です。憲法は、公用語をスペイン語と定めたうえで、スペイン語・キチュア語・シュアル語を「異文化間の関係のための公用語」としています。ほかの先住民の言語も、その人々が暮らす地域では公的に使われます(エクアドル共和国憲法 第2条)。
駐日エクアドル大使館は、自国を「四つの世界の国」と紹介しています。2026年4月には、在日エクアドル人の協会と一緒に、東京・高輪ゲートウェイシティでチョコレートや工芸品、トキージャ帽(パナマハット)を出展しました(駐日エクアドル大使館 2026年4月6日)。
1918年からの外交関係
日本とエクアドルは、1918年8月26日に修好通商航海条約を結び、外交関係を始めました(エクアドル国会)。
同じ1918年の6月、細菌学者の野口英世が黄熱病の研究のため港町グアヤキルを訪れています。野口が発見したとした病原体には、当時から疑問を持つ研究者もいました(内閣府 野口英世アフリカ賞「生涯年表」)。グアヤキルは、この記事で紹介するバルセロナSCとエメレクの街でもあります。
サッカーはどう根づいてきたか
協会の成立と、全国選手権の始まり
エクアドルサッカー連盟(FEF)は1925年に生まれ、1926年にFIFAに加盟しました(FIFA「Ecuador」協会情報)。
全国の王者を決める選手権は1957年に始まり、最初の王者はグアヤキルのエメレクでした(CONMEBOL 2014年12月22日)。
2019年シーズンからは、1部と2部の大会を「Liga Profesional de Fútbol del Ecuador(LigaPro)」の規程で行っています。いまの競技規程は2018年12月18日に承認され、2019年シーズンからセリエAを16クラブ、セリエBを10クラブにすると定めました(競技規程 経過規定第1)。2025年からはセリエBが12クラブになっています(同 セリエBの章)。
LigaProの規程にも、協会との役割分担が書かれています。リーグの優勝クラブは協会(FEF)に通知されて正式なものになり、南米の大会の出場枠を決めるのはFEFです(競技規程 一般規定第2とその注記)。
港町グアヤキルの「クラシコ・デル・アスティジェロ」
太平洋岸の港町グアヤキルには、バルセロナSC(Barcelona Sporting Club)とエメレク(Club Sport Emelec)があります。この2クラブの対戦は「クラシコ・デル・アスティジェロ(Clásico del Astillero)」と呼ばれ、CONMEBOLは国内最大のダービーと紹介しています。
2014年までの全国選手権57回のうち、最も多く優勝したのはバルセロナSC(14回)で、エル・ナシオナル(13回)、エメレク(12回)、リガ・デ・キト(10回)が続いていました(CONMEBOL 2014年12月22日)。
2026シーズン前半のダービーは、強い雨の中、バルセロナSCのホームのエスタディオ・モヌメンタルで行われました。LigaProはこの試合を「エクアドルサッカーの大一番」と伝え、バルセロナSCがエメレクに4連勝したと紹介しています(LigaPro 2026年3月11日)。
首都キトのリガ・デ・キトと、育成のインデペンディエンテ・デル・バジェ
アンデス山脈の高地にある首都キトのクラブ、リガ・デ・キト(Liga Deportiva Universitaria)は、2008年に南米クラブ王者を決めるコパ・リベルタドーレスで優勝しました。エクアドルのクラブでこの大会に優勝したのは、リガ・デ・キトだけです(CONMEBOL Libertadores 公式)。
キトの東、ロス・チジョス渓谷の街サンゴルキにあるインデペンディエンテ・デル・バジェ(Independiente del Valle)は、育成で知られるクラブです。1958年に生まれた地域のクラブが、2007年から新しい体制で育成に力を入れ、アカデミー出身のモイセス・カイセドらを欧州に送り出しました。南米の大会では、コパ・スダメリカーナで2019年と2022年に優勝し、2023年にはレコパ・スダメリカーナも制しています(CONMEBOL Libertadores 公式、CONMEBOL 2022年10月1日)。
リーグの仕組み(男子・2026シーズン)
| 階層 | 名称 | チーム数 | 方式 | 昇格 | 降格 | 運営 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1部 | LigaPro セリエA(Serie A/2026年の大会名「Liga Ecuabet」) | 16 | 前半:16クラブの総当たり2回戦(30節)。後半:1〜6位の六角リーグ(10節)、7〜10位の四角リーグ(6節)、11〜16位の降格六角リーグ(10節)。勝ち点は持ち越し | (最上位) | 降格六角リーグの下位2クラブ | LigaPro |
| 2部 | LigaPro セリエB(Serie B) | 12 | 前半:12クラブの総当たり2回戦(22節)。後半:1〜6位の昇格六角リーグ(10節)、7〜12位の降格六角リーグ(10節)。勝ち点は持ち越し | 昇格六角リーグの上位2クラブ(リザーブにあたる「フィリアル」クラブは昇格できない) | 降格六角リーグの下位2クラブが3部へ | LigaPro |
| 3部 | セグンダ・カテゴリア(Segunda Categoría)。全国大会は「Ascenso Nacional」 | 州大会は州ごとに異なる。全国大会は48 | 州ごとの大会 → 全国大会(6チーム×8組 → 4チーム×4組 → 決勝の4チームリーグ)。全国大会はホーム&アウェー | 決勝の4チームリーグの上位2クラブが翌年のセリエBへ | 確認できず(州の規程による) | FEFと州のサッカー協会 |
出典:1部・2部はLigaPro 競技規程 v.2026 第8〜10条、セリエBの章(2025年から)、経過規定第4。3部はEl Comercio 2026年8月5日、Primicias 2026年9月28日、州大会の運営はPrimicias 2024年4月22日
※3部の制度は、FEFの規程の本文を確認できなかったため、報道の本文で確認した内容です。州大会より下の地域リーグとのつながりは確認できていません。
1部:30節のあと、3つのリーグに分かれる
2026シーズンの1部は、2つの段階で行われます。
前半の「フェーズ・イニシアル(FASE INICIAL)」では、16クラブがホーム&アウェーで2回ずつ対戦します。全30節・240試合です。
後半の「フェーズ・フィナル(FASE FINAL)」では、前半の順位で次の3つに分かれます(競技規程 第9条・第10条)。
- 1〜6位:プリメル・エクサゴナル(第1六角リーグ)。6クラブが2回ずつ対戦する10節で、1位が優勝、2位が準優勝
- 7〜10位:クアドラングラル(四角リーグ)。4クラブが2回ずつ対戦する6節で、国際大会の出場枠を争う
- 11〜16位:エクサゴナル・デル・デセンソ(降格六角リーグ)。10節を戦い、下位2クラブがセリエBに降格
どのグループでも、前半の勝ち点を持ったまま後半に入ります。前半で大きく勝ち点を稼いだクラブが有利ですが、優勝は後半の10節を終えるまで決まりません。
2026シーズンの後半は9月18日に始まりました。LigaProは後半の始まりを、優勝と国際大会を目指す6チーム、コパ・スダメリカーナを目指す4チーム、残留を目指す6チームの戦いと紹介しています(LigaPro 2026年9月18日)。
南米の大会(コパ・リベルタドーレス、コパ・スダメリカーナ)の出場枠は、後半の各グループでの最終順位をもとに決まります。ただし、枠の数と配分を決めるのはFEFです(競技規程 一般規定第2・第3)。
2部:12クラブと、25歳以下のルール
2部のセリエBは12クラブです。22節の総当たりのあと、1〜6位が昇格をかけた六角リーグ、7〜12位が降格をかけた六角リーグを10節ずつ戦います。昇格は上位2クラブ、降格は下位2クラブです(競技規程 セリエBの章)。
セリエBには、選手の年齢のルールがあります。登録する選手は原則として25歳以下で、その年に26歳以上になる選手は11人までです(競技規程 経過規定、2025年12月15日改正)。
1部のクラブと結びついた「フィリアル(filial)」と認められたクラブは、セリエBで上位に入っても1部に昇格できません。その場合は、次の順位のクラブが昇格します(競技規程 セリエBの章、経過規定第4)。
日程にも違いがあります。FIFAの国際試合の期間(代表ウィーク)に、セリエAの試合は組まれません。セリエBは組むことができます(競技規程 第26条)。
3部:州の大会から全国大会へ
2部に上がる道は、州の大会から始まります。セグンダ・カテゴリアの最初の段階は州ごとの大会で、州のサッカー協会が運営します(Primicias 2024年4月22日)。
2026年は、州大会を勝ち抜いた48クラブが全国大会「アセンソ・ナシオナル(Ascenso Nacional)」に進みました。全国大会はFEFの主催で、2026年8月8日に始まりました。6チームずつ8組に分かれ、各組の上位2クラブ(計16クラブ)が4チームずつ4組の第2段階へ進みます。各組の1位、計4クラブが決勝の4チームリーグを戦い、上位2クラブが2027年のセリエBに昇格します。すべてホーム&アウェーで行われます(El Comercio 2026年8月5日)。
第2段階は2026年10月3日に始まり、11月7日に終わる予定です(Primicias 2026年9月28日)。2014年時点で全国選手権の優勝5回を数えたキトのデポルティボ・キトも、2026年は3部で戦い、第2段階に進めませんでした(同上、CONMEBOL 2014年12月22日)。
全国大会の形は年によって変わっています。2023年の全国大会は、勝ち抜き戦(ホーム&アウェー)で、勝ち残った2クラブが昇格する形でした(Primicias 2024年4月22日)。
代表チーム「ラ・トリ」と2026年W杯
エクアドル代表は「ラ・トリ(La Tri)」と呼ばれます。2026年W杯の南米予選では、2025年6月10日にリマでペルーと0対0で引き分け、2試合を残して出場を決めました。FIFAによると、今世紀5回目のW杯出場です(FIFA「Qualified teams for the FIFA World Cup 2026」)。
本大会ではグループEで、コートジボワールに敗れ、キュラソーと0対0で引き分けたあと、最終戦でドイツに2対1で勝ちました。勝ち点4のグループ3位で、ラウンド32に進みました(FIFA 2026年6月27日)。6月30日のラウンド32では、メキシコシティで開催国メキシコに0対2で敗れています(FIFA 2026年7月1日)。
日本との比較
| 項目 | エクアドル(2026シーズン) | 日本(2026-27シーズン) |
|---|---|---|
| 開催時期 | 暦年(1月〜12月)のシーズン。2026年は1部が2月、2部が3月に開幕 ※1 | 2026年8月7日開幕・冬に中断・2027年6月6日閉幕(Jリーグ「大会概要 J1」)※2 |
| 1部の規模と方式 | 16クラブ。30節の総当たりのあと、3つのグループで6〜10節を追加(勝ち点は持ち越し) | J1は20クラブ・全38節・380試合 ※3 |
| 優勝の決め方 | 前半1〜6位の六角リーグの1位 | 38節の総当たりの1位 ※3 |
| 1部から2部へ | 降格六角リーグの下位2 | 下位3が降格 ※3 |
| 2部から1部へ | 昇格六角リーグの上位2(フィリアルは除く) | 自動昇格2。3〜6位のJ1昇格プレーオフ優勝が昇格 ※3 |
| 3部より下 | 州ごとの大会 → 48クラブの全国大会 → 上位2がセリエBへ | J3・JFLの下に、地域リーグ(9地域)と都道府県リーグ(47)※4 |
※1 LigaPro 制裁議事録の日付(セリエA第1節 2026年2月25日、セリエB第1節 2026年3月24日)
※2 Jリーグ「シーズン移行」
※3 Jリーグ「大会概要 J1」
※4 JFA「国内の競技会」
いちばん大きな違いは、優勝と降格の決め方です。日本のJ1は38節の総当たりの順位がそのまま最終順位になります。エクアドルは30節のあとに順位でグループを分け、優勝争いと残留争いをそれぞれ別のリーグとして行います。もう一つは時期で、エクアドルは暦年のシーズンを続け、日本は2026-27シーズンから8月開幕に移りました。国の大きさ、クラブ数、移動の条件が違うので、どちらの方式が良いかを単純に比べることはできません。
日本との接点
日本代表は、エクアドル代表と次の試合をしています。
- 2022年9月27日、ドイツのデュッセルドルフで対戦し、0対0(キリンチャレンジカップ2022、JFA)
- 2026年10月1日、横浜国際総合競技場で対戦し、0対0のあとPK戦5対4で日本が勝利(キリンカップサッカー2026、JFA)
エクアドルのリーグでプレーした日本人選手は、今回の調査では確認できていません。
試合の日程・結果を見るには
- 順位表:LigaPro公式「Tabla de Posiciones」
- 結果:LigaPro公式「Resultados」
- 日程:LigaPro公式「Calendario」
- クラブ一覧:LigaPro公式「Equipos」
- 毎節の振り返り:LigaPro公式「Prensa」(スペイン語)
LigaProの公式YouTubeチャンネルと、日本から試合を生中継で見る方法は、2026年10月5日時点で確認できていません。
よくある質問
Q. エクアドルのサッカーリーグは何部まで?
A. 2026シーズンは、LigaProが運営する1部(セリエA、16クラブ)と2部(セリエB、12クラブ)の下に、州の大会から始まる3部(セグンダ・カテゴリア)があります。3部から2部に上がれるのは年に2クラブです。
Q. エクアドルの1部はどうやって優勝が決まる?
A. 16クラブが30節の総当たりを戦ったあと、上位6クラブが勝ち点を持ち越して10節の六角リーグを戦います。その1位が優勝です。
Q. 1部から何クラブ降格する?
A. 2クラブです。前半11〜16位の6クラブが勝ち点を持ち越して10節の降格六角リーグを戦い、下位2クラブがセリエBに降格します。
Q. エクアドルのリーグはいつ行われている?
A. 1月から12月の暦年のシーズンです。2026年は1部が2月、2部が3月に開幕し、1部の後半は9月18日に始まりました。
Q. エクアドルは2026年W杯に出場した?
A. 出場しました。南米予選を突破し、本大会ではドイツに勝ってグループEを3位で通過しました。ラウンド32でメキシコに敗れています。
調査基準日:2026年10月5日(リーグ制度は2026シーズン)
