サッカークラブのフロント(経営・営業スタッフ)の仕事は、外から見えにくい。
筆者は地方プロクラブのフロントスタッフに継続的にヒアリングしているが、現場で起きていることは想像以上に泥臭く、リアルです。
このコラムでは、地方Jクラブの営業現場の実態を、「フロントの本音」として整理します。
営業現場の1日
地方J2クラブのスポンサー営業担当の典型的な1日。
朝9時:出社
- 前日のスポンサー対応のメールチェック
- 今日のアポイント確認
- 営業資料の最終調整
午前10時〜12時:地元企業訪問1〜2件
- 新規スポンサー候補への提案
- 既存スポンサーの担当者面談
- 地元の中小企業オフィスを直接訪問
午後1時〜5時:訪問・電話・資料作成
- 午後の訪問1〜2件
- 電話でのフォロー
- 提案資料・契約書の作成
夕方5時〜8時:会食・交流会
- スポンサー企業との会食
- 商工会議所のイベント参加
- 地元の懇親会
夜8時〜10時:事務処理
- 帰社して契約書整備
- メール対応
- 翌日の準備
地方クラブの営業マンは、「足で稼ぐ」営業を続けています。
フロントが語る「営業のリアル」
リアル1:「サッカーが好きじゃないとできない」
地方クラブの給与は、決して高くない。月給20〜30万円、ボーナスも限定的。
それでも続けられるのは、サッカーへの愛があるから。「お金じゃない」と多くのフロントが言う。
リアル2:「成績の浮き沈みで業務が一変」
クラブが好調な時:スポンサー営業がやりやすい
クラブが不調な時:継続交渉が難航、新規獲得は激困難
「降格危機」の状態でスポンサー営業をする辛さは、現場でしか味わえない。
リアル3:「人間関係が全て」
地元企業との関係構築は、契約書の前にある。
地元の商工会議所、業界団体、スポンサー企業の社長との人間関係が、すべての営業の前提。
リアル4:「3年で結果が出るとは限らない」
スポンサー獲得は、最初の訪問から契約まで1〜3年かかるケースも珍しくない。
それでも続けることが、地方営業の本質。
リアル5:「断られることが日常」
新規営業の成約率は、5〜10%程度。9割断られても、続ける精神力が必要。
地方クラブフロントから学べること
学び1:「足で稼ぐ」の重要性
メール・電話より、直接訪問。これが地方ビジネスの基本。
学び2:「成績以外の価値」を語る力
クラブの成績だけでスポンサー営業はできない。地域貢献、社会的意義、企業のCSR的価値を語れる力。
学び3:「断られても続ける」精神
地方営業の本質は、執念。1社あたり10回以上の接触で初めて検討対象になります。
学び4:「自社のことを愛していないと売れない」
クラブへの愛、地域への愛、サッカーへの愛。これがないと地方営業は続けられない。
中小事業者への示唆
地方クラブのフロント営業の現場は、すべての地方中小企業の営業現場と本質的に同じです。
- 足で稼ぐ営業
- 人間関係の重視
- 断られても続ける執念
- 自社・地域・商品への愛
これらは、IT化が進んでも、AIが営業を代替する時代になっても、消えない営業の本質です。
ストライカードットコム視点
筆者はサポーター取材と並行して、地方クラブのフロントスタッフへの取材も継続しています。
サッカーの試合の裏側にいる「営業マンの戦い」を、これからも一次情報として記録していきたい。
地方で事業をやる人、営業をやる人にとって、サッカークラブのフロントの仕事を知ることは、自分の仕事を見直すきっかけになるはずです。
参考リンク
– 地方クラブのスポンサー営業の実態(ストライカードットコム)
– プロサッカークラブのスタッフって何人いて、どんな仕事してるの?(ストライカードットコム)
– コンサドーレ札幌のサポーター文化マップ(ストライカードットコム)
